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Vol.15 品種による産卵の違い

2015.6.14

 梅雨に入り、産卵の季節が終わりました。自然産卵のピークは5月に入ってからで、産卵が始まった3月末からの2ヶ月間で、6品種20腹以上の卵が採れました。
産卵期に入ると、金魚のオスは産卵間直のメスを追いかけます。この行動は追尾といって、産卵前日の夕方から始まります。翌日に産卵することが多いのですが、産卵期の早い時期では追尾が激しくないので、見逃してしまうことがあります。この追尾を見逃して産卵に気がつかないと、せっかく産んだ卵を親が食べてしまいます。この時期、朝夕しっかり金魚を観察することが肝要です。

 

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金魚を別居させて卵を採る方法もあります。メスのお腹をさすって卵を産みそうだと思ったら、オスとペアリングします。オスとメスがうまくマッチすれば、翌日には追尾をはじめ、翌々日に産卵します。メスのお腹を指で触ったとき、やわらかくなっていれば産卵が近いです。その判断は、飼育者の経験が頼りで、タイミングを逃すと卵が成熟しすぎて孵化しないことも多くあります。

 

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私は、卵を産み始めたら人工授精に切り替えます。洗面器の中でオスとメスを腹合わせにして、オスから精子を絞った後に、メスから卵を絞ります。金魚の卵は付着卵で、産み出されると水草などにくっつきます。卵はどこかにくっつくと受精しませんから、水中を漂っている間に精子と卵が出会うようにします。また、卵は重なったり、密に産みつけ過ぎると、受精しなかった卵から発生した水カビに覆われて、孵化までに死んでしまいます。適度な密度になるように尾びれを軽く振って卵を分散させたり、卵が多そうなら洗面器を変え調整します。

 

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産卵の様子を観察していると、品種によって様子が違うのに気がつきます。トサキンとオオサカランチュウは、ややもすればメスを殺してしまうほど激しい追尾をします。トサキンは丸いモルタルの鉢で飼育するが、産卵のときは角鉢でないとメスを追いすぎて殺してしまうと、ベテランの飼育者から聞いたことがあります。オオサカランチュウも、トサキンに負けないくらいメスを激しく追います。オスの数が多いとメスのお腹の鱗がズル剥けになってしまうので、一時的にメスを隔離することもあります。トサキンは、オオサカランチュウとリュウキンを交配して作ったそうですから、性格も似ているのかもしれません。ひょっとしたら、泳ぐことが苦手な品種なのでメスを必死に追いかけているだけなのかもしれませんが。

著者プロフィール

津村英志 (つむら・えいじ)

津村英志虹の森公園おさかな館館長 1967年生まれ 愛媛県出身 小学校6年の時に金魚飼育を始める。
金魚の天敵である猫は大嫌いだったはずだが、ひょんなことから子猫を飼い始めたところ、案外嫌いでない自分に気づく。 
愛媛大学大学院理学研究科生物学専攻修了。
平成8年よりおさかな館会館準備にあたる。平成12年より現職。
日本らんちゅう協会会員愛媛吟らん会 副会長 事務局
愛媛南予らんちゅう会 事務局

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