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Vol.17 黄色い色はお父さんのしるし!

2018.3.17

 みなさん、こんにちは。仙台はまだまだ寒いですが、春のクラゲが採れはじめ、少しずつ春が近づいてきているようです。
さて、今月は冬に産卵期をむかえる「アイナメ」をご紹介します。見た目は地味なアイナメさんですが、釣人の間では“引き”が楽しめる魚として人気です。岩陰に身を潜めて生活をしており、三陸の海は岩場が多いので絶好のアイナメスポットとなっています。

 野生のアイナメは秋から冬にかけて産卵をするのですが、仙台うみの杜水族館でも、毎年1月頃に水槽内の擬岩の割れ目に卵を産み付けます。(一般的に魚は水温などの環境の影響を受けることで産卵が誘導されるのですが、水族館で条件を一定にして飼育をしていても必ずこの時期に産卵します。不思議。)
 アイナメは産み付けられた卵を守るべく、卵塊に寄り添います。お腹を痛めて産んだ子を必死に守っているんだな・・・と感心しますが、守っているのは実はオス。メスは産んだ直後にどこかへ行ってしまいます。卵を守っているオスは体全体が鮮やかな黄色に変化(婚姻色)します。通常のときの色は地味目の迷彩柄で、色の違いが一目瞭然です。

 じっくり観察していると、卵塊の脇でひたすら立泳ぎを繰り返しています。これは、卵塊が酸欠にならないよう新鮮な海水をパパのヒレを使って送り込んでいるようです。飲まず食わず休まずヒレを動かしている姿はとても健気・・・たまに休みますが、その間も敵がいないか注視します。ちなみに、同種のアイナメも卵を食べに狙ってきます。(「アイナメ」の名前の由来は、産卵期にアイナメ同士で口を噛み合うことからきているそう。)

 卵は1ヶ月ほどで孵化をします。今年はまだ孵化をしていませんが、2年前に孵化したときの写真があります。水槽内に数千匹のアイナメの稚魚が舞い上がり、いのちのきらめきを感じます。

 孵化をした稚魚を顕微鏡で観察すると、体全体が透き通っており、心臓から血液が身体全体へ循環しているようすがわかります。体長は7mmほど、こんな小さな稚魚が、健気なパパへと成長していくと思うと、生命の神秘を感じます。

 今年も稚魚の孵化が待ち遠しいです。ぜひ、仙台うみの杜水族館にパパアイナメのことを応援しにきてくださいね!

著者プロフィール

荒川 美緒(あらかわ・みお)

宮城県塩釜市出身
2015年 マリンピア松島水族館 入社
現在は仙台うみの杜水族館の魚類チーム、学芸員、博士(理学)。
専門はクラゲ。魚は見るのも飼うのも食べるのも好き。最近GoProを手に入れたので使う機会を伺っている。

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