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Vol.3 オオゴマダラのさなぎは黄金色

2012.12.7

鹿児島県の喜界島を北限とするオオゴマダラは日本最大のチョウと言われています。

このオオゴマダラの成虫は白と黒の色彩のため、時に『新聞チョウ』と呼ぶ人もいるそうです。さなぎは成虫とは全く異なり、美しい金属光沢のある黄金色です。幼虫からさなぎになった(蛹化といいます)ばかりでは山吹色をしていますが、2日目には金属光沢が出てきます。さなぎの期間は温度条件により多少変わりますが、およそ2~3週間です。成虫に変わる(羽化する)直前には翅の色が透けて見えてくるので、黄金色のさなぎが黒っぽくなり、羽化が近いのが分かるようになります。

 

 

この黄金色のさなぎは単体でも人目を引きますが、1年の内一番注目される時期はなんと言ってもクリスマスシーズンでしょう。オオゴマダラを飼育している園館の多くはこの時期にオオゴマダラのさなぎをクリスマスツリーに飾っています。長崎バイオパークでは現在白いクリスマスツリーに約30匹のさなぎを付けていますが、見学している多くのお客様は作り物もしくはさなぎに金色に塗っていると勘違いしているようです。時には「生き物を飾りにするなんてけしからん!」と勘違いされたお客様からのクレームもありました。

クリスマスツリーに飾っているさなぎももちろん生きていますので2~3週間で羽化し、チョウ(成虫)になります。タイミングが合えば神秘的なチョウの羽化を目の前で見ることもできます。実はこのクリスマスツリーはオオゴマダラの羽化台なのです。通常は飼育ケースの蓋などに糸を固定してさなぎになりますが、羽化の時にさなぎの殻につかまり、体液を翅に送りながら伸ばしていきますので、『チョウの大きさ+さなぎの大きさ+脚の長さ』の高さが必要になります。このため、小型の飼育ケースから大型の飼育ケースに移し変えて羽化を待っています。その羽化台がこの時期だけクリスマスツリーになるだけなのです。

 

 

多くのチョウのさなぎは緑色もしくは枯れ草色でそれが保護色となっていますが、オオゴマダラでは全く逆の目立つ色になっています。その理由としては幼虫時代に食べる植物にアルカロイド系の有毒物質が含まれているため、体内に残っている毒をアピールしているなど諸説ありますが、本当のところはオオゴマダラ本人でさえも分からないことでしょう。

この自然が作り出した世界一美しい黄金色のさなぎを是非一度は見てください。自然界の不思議を感じることが出来ると思います。

 

 

著者プロフィール

伊藤雅男 (いとう・まさお)

1961年東京生まれ。
1983年から長崎バイオパーク勤務。およそ30年間に12頭のカバの飼育に携わっている。趣味はカバグッズ収集と昆虫採取で、休みの日は捕虫網を持って山間部にいくことが日課。特に渡りをするチョウで有名なアサギマラのマーキング調査を15年間続けており、毎年2000~3000匹にマーキングをしている。先日は長崎から台湾への移動も記録した。最近はカメムシに興味を持ち、園内で採集したカメムシをポケットに忍ばせていることもある。

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