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Vol.15 世界最大のクワガタ

2015.2.28

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 世界最大のクワガタは東南アジアに分布するギラファノコギリクワガタです。全長121mmが最大と言われており、次に大きいのがマンディブラリスフタマタクワガタで全長119mmと言われています。わずか2mmですから東西の横綱と言って良いでしょう。

 

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 ギラファノコギリクワガタは以前キバナガノコギリクワガタと呼ばれていました。私の持っている2,000年前に発行された一般向けの図鑑ではキバナガで(専門書では2000年前でもギラファでした)、2004年以降の図鑑ではギラファになっているようです。今では完全にギラファが定着したようです。長崎バイオパークの昆虫館でも3年ほど前までキバナガと表記していましたが、世間の波に飲まれてギラファに変更しました。
 なぜ和名が変わったのかを考えてみました。これは完全に私の推測ですが2003年に登場した「甲虫王者ムシキング」というゲームのカードにギラファノコギリクワガタとして登場しているのです。
 元々、ギラファとは学名のgiraffaをカタカナ表記したものでキリンを意味します。長い大あごをキリンの首に見立てたのでしょう。でも学名が付いたのが1789年です。陸上生物で一番背が高いキリンを世界最大のクワガタに付けたセンスの良さに今更ながら感心してしまいます。
 「甲虫王者ムシキング」の影響でギラファになったというのが私の仮説ですが、もしその通りだとすれば1つのゲームが図鑑の名前を書き換えたわけで、ものすごい影響力だったと思います。そして多くの昆虫少年を生み出してくれました。2003年から2009年までの間にこのゲームの愛好家たちはすでに高校生以上になっているんですね。また、今年から新しいムシキングが始まるようなので昆虫好きの私のようなおじさんも前作を知らないお子さんたちも盛り上がるかもしれませんね。

 

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 さて本題のギラファノコギリクワガタですが、現在9つの亜種に分かれています。その中で一番大きくなるのが、インドネシアのフローレンス島に住む、ケイスケイという亜種です。写真の成虫はこのケイスケイで、バイオパークで生まれた個体です。

 

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 飼育では120mmを超えることはありませんが、この写真の個体でも105mmはあります。世界最大のクワガタは実は飼育繁殖が比較的簡単な種類だったのです。1年ほどで成虫になり、成虫での寿命も1年ほどですからいつもこの種類を展示することができるのです。

 

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 幼虫は菌糸ビンという、きのこの菌をおがくずに植え付けた白いビンで飼育します。終令幼虫の大きさはこの写真の手と比較してもらえば明らかでしょう。やはり、成虫も大きければ幼虫もデカイ!この個体はオスですのでどこまで成長するか楽しみです。ただ、この幼虫はダイスケイというフィリピンのネグロス島に住む亜種ですので、ケイスケイほど大きくはならないようです。

 今年の夏にはまた「世界のカブト・クワガタ展」を行なう予定ですので、ギラファノコギリクワガタの2大亜種であるケイスケイとダイスケイが並ぶ展示が出来ればと今から楽しみにしています。

著者プロフィール

伊藤雅男 (いとう・まさお)

1961年東京生まれ。
1983年から長崎バイオパーク勤務。およそ30年間に12頭のカバの飼育に携わっている。趣味はカバグッズ収集と昆虫採取で、休みの日は捕虫網を持って山間部にいくことが日課。特に渡りをするチョウで有名なアサギマラのマーキング調査を15年間続けており、毎年2000~3000匹にマーキングをしている。先日は長崎から台湾への移動も記録した。最近はカメムシに興味を持ち、園内で採集したカメムシをポケットに忍ばせていることもある。

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