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Vol.6 旅をするチョウ・アサギマダラ Part3

2013.5.28

5月になると長崎県内ではアサギマダラが成虫になって活動を始めます。この時を待っていた私は毎年近くのフィールドに出てアサギマダラを捜しています。長崎県内ではこれから11月中旬までアサギマダラが見られますので私も休みには野山で走り回ることになります。

今年も2013年5月8日から17年目となるアサギマダラのマーキング調査を始めています。この時期はノアザミに飛来して吸蜜していることが多く、まず近くの林道などでノアザミを捜します。毎年ノアザミが繁茂する場所は同じところが多いので昨年の状態を思い出しながら車で移動しながら丹念に捜していきます。ノアザミには多くのチョウが集まります。特にアゲハチョウのなかまはたくさん見かけます。ナミアゲハ・キアゲハ・クロアゲハ・カラスアゲハ・モンキアゲハ・ジャコウアゲハ・アオスジアゲハなどがいつも飛び回っています。アゲハチョウのなかまは吸蜜中も翅をはばたきながら忙しく動いていますが、目指すアサギマダラははばたかずにじっと吸蜜するタイプなのでよく見ていないとうっかり通り過ぎてしまいます。

 

 

5月8日にはオスのアサギマダラが2匹だけ目撃して捕獲しました。両方共に美しく新鮮な個体だったので、恐らくこの近辺で羽化したものだと感じました。早速、アサギマダラの翅に私のマークを書き込み、本州など更に北へ移動することを願って放しました。

これからアサギマダラたちは沖縄県など南方から移動して本州や四国、時には北海道まで旅をします。そして世代交代をしてから今年の秋にはまた長崎県内に移動してくるのです。

昨年は初夏に長崎県内から石川県に1匹、大分県に3匹移動し、秋には他県から長崎県内に移動した個体が長野県から4匹、山梨県から4匹、富山県から1匹、大分県から3匹を確認しています。また、長崎県から秋にマークした個体が鹿児島県、沖縄県の離島で9匹見つけていただきました。しかし、昨年は3261匹のアサギマダラを捕獲してマークをしたので、見つけてもらう確率はとても少ないのが現状です。これにもめげずに今年も多くのアサギマダラにマークをしてこの不思議な生態を少しでも解明出来たらと思っています。

著者プロフィール

伊藤雅男 (いとう・まさお)

1961年東京生まれ。
1983年から長崎バイオパーク勤務。およそ30年間に12頭のカバの飼育に携わっている。趣味はカバグッズ収集と昆虫採取で、休みの日は捕虫網を持って山間部にいくことが日課。特に渡りをするチョウで有名なアサギマラのマーキング調査を15年間続けており、毎年2000~3000匹にマーキングをしている。先日は長崎から台湾への移動も記録した。最近はカメムシに興味を持ち、園内で採集したカメムシをポケットに忍ばせていることもある。

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