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Vol.17 クワガタムシの雌雄型

2015.5.4

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 雌雄型(雌雄モザイクgynandoromorph)とは簡単に説明すれば1つの個体にメスとオスの形態が現れる現象です。しかし、その出現の形は左右にはっきりと分かれる場合や一部だけ別の性の特徴が現れるものなど様々です。チョウやカブトムシなど昆虫類に多く発見されているようです。
 ある報告では雌雄型の出現は数百万匹の1匹と言われているほど珍しい現象なのです。
 4月25日から8月31日まで長崎バイオパークで行なわれている「世界のカブト・クワガタ展」では生きている雌雄型のオオクワガタを展示しています。

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 このオオクワガタは飼育繁殖した個体です。完全な左右の分かれた雌雄型ではなく、一見すると右大アゴが折れているオスに見えます。しかし、右側の大アゴの形状と触覚と目の位置、右前脚の大きさ、前胸の上部の表面などにメスの特徴が出ているのです。

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 昆虫館の展示では通常のオオクワガタのオスと並べて展示していますので、その違いを見比べることが出来ます。

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 雌雄型と言えば、1997年7月28日にバイオパーク近くの雑木林で私の長男の俊太(当時9歳)がノコギリクワガタの雌雄型を採集したことがありました。左半分がオスで右半分がメスという完全に左右で分かれる雌雄型でした。この時は私も雌雄型にすぐに気付かず、子供に「大アゴが折れているみたいだから放そうか?」と言ったくらいです。すぐにその変異に気付いた私は夏なのに鳥肌が立ち、9歳の子供に分かるように落ち着いて説明しましたが、「なんだオカマじゃん!」と驚きもせず笑っていたことを思い出します。
現在はこの「オカマクワガタ」はバイオパークの昆虫館で展示していますが、見つけた本人はその価値が分かったため、「珍しいオカマクワガタはバイオパークに貸しているが、あれは僕のだ!!」と常に言っています。

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 このほかに「世界のカブト・クワガタ展」ではミヤマクワガタとツシマヒラタクワガタの雌雄型も展示しています。ミヤマクワガタ(左メス・右オス)は長崎市内で採集されたもので、ツシマヒラタクワガタ(左オス・右メス)は飼育飼育繁殖個体です。両方共に完全な雌雄型と言って良い個体だと思います。
 これらは長崎県西彼杵郡時津町在住の山之内豪樹様より提供されたものです。
 オオクワガタの生体、ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタ、ツシマヒラタクワガタの標本と4種類の雌雄型が一同に展示されていますので、この機会に生命の神秘を感じていただければと思っています。

著者プロフィール

伊藤雅男 (いとう・まさお)

1961年東京生まれ。
1983年から長崎バイオパーク勤務。およそ30年間に12頭のカバの飼育に携わっている。趣味はカバグッズ収集と昆虫採取で、休みの日は捕虫網を持って山間部にいくことが日課。特に渡りをするチョウで有名なアサギマラのマーキング調査を15年間続けており、毎年2000~3000匹にマーキングをしている。先日は長崎から台湾への移動も記録した。最近はカメムシに興味を持ち、園内で採集したカメムシをポケットに忍ばせていることもある。

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