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Vol.17 最高齢のカバ・バシャン

2015.5.5

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 先日の4月10日の新聞にカバと書いてあるテレビ番組を見つけました。それはフジテレビのドラマで正式には「新・奇跡の動物園 旭山動物園物語2015 命のバトン」です。
 旭山動物園のカバが登場するなら間違いなく当園から旭山に行った百吉も役者の一人として登場すると思い、楽しみに放送を待っていました。
 ドラマを見てうれしかったのが、百吉やザブコが実名で登場することでした。ただ、ザブコはすでに他界しているため、このザブコを演じているカバは誰だろうと思い始めてしまい、内容よりそっちの方が気になってしまいました。
 個体を見ても分からないし、ちらりと写った園の風景やバックヤードなどを見ても分かりません。きっと私が訪れたことがない動物園なんだろうなと感じていました。ドラマのエンディングにロールスーパーで「協力・日立市かみね動物園」と書かれていたことですっきりしました。確かにかみね動物園には私は一度も訪れたことがありません。
 かみね動物園と言えば私と同期入園のドンもここで生まれています。とすれば、ドラマで出演していたカバはかなりの年齢の個体と思っていたので、恐らく当園のドンの母親のバシャンなのでしょう。それならば、百吉の曾おばあさんになるのです。ドラマの映像だけの共演でしたが、たしかにこの物語のタイトルのように「命のバトン」を実感して私は感無量になっていました。

写真提供;日立市かみね動物園

写真提供;日立市かみね動物園

 現在52歳(1963年3月12日生まれ)のバシャンは国内最高齢のカバです。調べてみるとこのバシャンは故ドボンとの子を14頭も産んでいるのです(流産1子を含む)。この14頭の中に日本初の双子(1頭は当園のドン)も産み育てています。そして現在国内にはバシャンの子供たちが7頭飼育されています。
 これらを見てもかみね動物園とバシャンとドボンが日本のカバ界に多大な貢献をしたことは間違いありません。
 また、カバの国内血統登録書を見ると、バシャンの出生地は別府と書かれていました。九州大分県生まれだったのです。
 52歳の誕生日はおからケーキでお祝いした写真をかみね動物園から送っていただきました。ありがとうございました。ドンの母親の最長老でもテレビドラマに出演するほど元気なのですね。
 日本のカバの最高齢は推定58歳ですからこの記録を更新する日が楽しみです。世界記録が59歳と聞いていますのでこれにも挑戦して欲しいですね。

写真提供;日立市かみね動物園

写真提供;日立市かみね動物園

現在は末娘のチャポンと仲良く暮らしているとのことです。

写真提供;日立市かみね動物園

写真提供;日立市かみね動物園

 また、かみね動物園からのご好意で当園のドンと当園で過去に飼育していたマルコ(1984年死亡)の赤ちゃんの頃の写真も頂きました。カバの赤ちゃんは1頭でもその仕草がかわいいのですが、双子であれば子供同士でじゃれ合う姿は特に楽しいものだったのでしょうね。当時はかみね動物園のカバ舎の前がたくさんのお客さんで賑わったことでしょう。ドンとマルコの誕生日は1980年1月2日ですから35年前のことになります。

写真提供;日立市かみね動物園

写真提供;日立市かみね動物園

 双子のカバはその後国内では長崎サファリパーク(長崎県鹿町町1990年閉園)で1985年10月10日に生まれた(1頭は1週間後に死亡)2例しかありません。この写真を見ていると長崎バイオパークのモモの次の子は絶対に国内3例目の双子で誕生して欲しいと双子の父親である私も願っています。

著者プロフィール

伊藤雅男 (いとう・まさお)

1961年東京生まれ。
1983年から長崎バイオパーク勤務。およそ30年間に12頭のカバの飼育に携わっている。趣味はカバグッズ収集と昆虫採取で、休みの日は捕虫網を持って山間部にいくことが日課。特に渡りをするチョウで有名なアサギマラのマーキング調査を15年間続けており、毎年2000~3000匹にマーキングをしている。先日は長崎から台湾への移動も記録した。最近はカメムシに興味を持ち、園内で採集したカメムシをポケットに忍ばせていることもある。

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