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Vol.18 カバの名前

2015.5.30

 動物園の動物のほとんどには名前(個体名)が付いています。その付け方は動物園やその種類によって様々です。また、その動物の特徴を名前に入れることを考えたりすると動物によってなんだか偏った名前ばかりになってしまいます。
 ゾウではハナコがヤギではユキちゃんが一番多いと想像しています。キリンではタカオかな。では日本の動物園のカバたちの名前はどうなのでしょうか?

徳山動物園のマル

徳山動物園のマル

 国内血統登録簿から歴代のカバたちの名前を調べてみました。やはり日本のカバたちにはカバらしい名前が目立ちます。その中にはいくつのパターンがあるようです。
 まず、和名のカバから付けられた名前として「カバオ」「カバコ」「カバ吉」「カバ太」などがありました。そして英名や学名・現地名などから「ヒッポッポ」「ポポ」「キボコ」などです。
 次にその大きさから「ダイ」「大吉」「ドン」「重吉」「デカ」「デカオ」「大太郎」「大チャン」「ジャンボ」「フトシ」「いわお」があり、他に「デブコ」「デブオ」など少々かわいそうな名前も見つけました。
 顔の特徴から「出目男」、体型から「マルコ」「マル」「丸太」が付いたようです。子供の頃の体の色から「モモ」と付いたのはバイオパークのカバですが、桃色以外に2つの理由があり、桃の節句頃に生まれたことと人工哺育を与えていたこと(牛はモーモーと鳴きますので・・・)も一般公募で選んだ理由でした。

バシャン(左)とチャポン

バシャン(左)とチャポン
写真提供;日立市かみね動物園

 カバらしく水にちなんだ名前として有名なのは「ドボン」「バシャン」でしょう。その2頭の子の「チャポン」も子供の頃のイメージが良く伝わります。そして「水美」「ブカ」もそうでしょうし、「ザブコ」「ザン」なども水に入るカバを想像できますね。バイオパークで生まれた「龍馬」も水神の龍と河馬の馬の漢字が付いた素晴らしい名前だと思っています。
 父親や母親から受け継いだ名前として「出目男」の子たちの「出目太」「出目吉」。バイオパークで生まれた「モモ」の子の「ももたろう」は多くのお客様が「モモ(桃)」から生まれた「ももたろう」として名前を付けていただきました。
 生まれた動物園名や地名なども名前に使われていました。「ナゴヤ」「ヒタチ」がその例です。因みにカバではありませんが当園生まれで他の動物園に行った動物たちのオスは「バイオ」と名付けられることが多いと聞いています。
 また、私の妻と同じ名前のカバがいたことを今回初めて知りました。違和感がなく笑いましたが名前は伏せておきます。
 カバに似たキャラクターとして「ムーミン」「ノンノン」は長崎バイオパークのカバにも私が付けています。なお、バイオパーク以外でも同じ名前の個体が存在していました。

百吉

百吉

 長崎バイオパークの個体名は来園の古い順番でいくと、「ムーミン」「ノンノン」「ドン」「マルコ」「トット」「ボンチ」「モモ」「タロー」「ムー」「ももたろう」「ゆめ」「龍馬」「百吉」「ムサシ」「出目太」の15頭です。この内「モモ」「ももたろう」「ゆめ」「龍馬」「ムサシ」が一般公募して選んだものです。名前が付いていて来園したのが「ムー」「出目太」で、私が名付けたのがその他の8頭になります。その中で一番お気に入りの名前は「百吉」です。カバが日本に最初来た年から丁度100年目に生まれた子であることが分かるように名付けました。今では旭山動物園の人気者です。その「百吉」の嫁さんの名前は「旭子」と名付けられています。

旭山動物園の旭子

旭山動物園の旭子

 思うままにたくさんのカバの名前を列記しましたが、それぞれの動物園、飼育係、お客様の愛情がたくさん詰った歴史ある名前ばかりであると感動しています。
今回私が列記したカバの名前のうち10頭以上のカバと会っているという方は間違いなくカバマニアです。

著者プロフィール

伊藤雅男 (いとう・まさお)

1961年東京生まれ。
1983年から長崎バイオパーク勤務。およそ30年間に12頭のカバの飼育に携わっている。趣味はカバグッズ収集と昆虫採取で、休みの日は捕虫網を持って山間部にいくことが日課。特に渡りをするチョウで有名なアサギマラのマーキング調査を15年間続けており、毎年2000~3000匹にマーキングをしている。先日は長崎から台湾への移動も記録した。最近はカメムシに興味を持ち、園内で採集したカメムシをポケットに忍ばせていることもある。

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