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Vol.12 モグラの人工トンネル(後編)

2014.10.6

 モグラの展示がフェニックス自然動物園からすがたを消して約半年、2012年は辰(たつ)年でした。竜は空想上の動物ですので、土竜(もぐら)ということでモグラの企画展を実施することに。ここからモグラ展示を再開することにしました。今回の企画展の主役はモグラです。ついにモグラをメインに展示することができることになりました。

 しかしモグラトンネル2号のままでは来園者のみなさんにモグラの面白さ、すばらしさを伝えることは難しい、3号を製作することにしました。3号を製作するにあたって動物学者である今泉吉晴先生の「空中モグラあらわる」を参考にしました。この本はジュニア向けに書かれた文庫本なのですが、細かく観察されたモグラの生態や先生のモグラ観察のためのトンネル製作について書かれています。3号に新たに採用したのは寝床として設置していた木製の巣箱を撤去し、土と木のチップを入れた水槽をかわりに設けました。この土の入った水槽は今泉先生が用いていたもので、たまに土を掘ることのできるところを作ってやると落ち着くのではないかと書かれていたからです。木のチップの入った水槽は保温効果があります。ここを寝床にするかもしれないと設置することにしました。さらに長いトンネルも設置することにしました。長いトンネルはスペースの都合上、部屋の天井にワイヤーを張り巡らし、そこからぶら下げました。天井までは長い垂直のトンネルと透明塩ビパイプで、所々にトイレやエサ場も作りました。

初期のモグラトンネル3号。シンプルなトンネル構造にしています。水槽の中には寝どこ用の木のチップと土がそれぞれ入れてあります。ここから天井のトンネルにも連結していてモグラは自由に行き来することができるようになっています。トイレやエサ場も設けましたがこの後トイレは使用されずエサ場はトイレに…とモグラは製作者の期待を片端から裏切っていきます。

初期のモグラトンネル3号。シンプルなトンネル構造にしています。水槽の中には寝どこ用の木のチップと土がそれぞれ入れてあります。ここから天井のトンネルにも連結していてモグラは自由に行き来することができるようになっています。トイレやエサ場も設けましたがこの後トイレは使用されずエサ場はトイレに…とモグラは製作者の期待を片端から裏切っていきます。

 展示開始直前までモグラトンネル製作に時間がかかってしまったのでモグラの投入は前日になってしまいました。ここに2セットのトンネルを設置して2頭のモグラを投入しました。

モグラトンネル3号。天井のトンネルにつなっがています。私の気合とは反対に、当時は動くモグラのすがたはなかなか見られませんでした。

モグラトンネル3号。天井のトンネルにつなっがています。私の気合とは反対に、当時は動くモグラのすがたはなかなか見られませんでした。

 本来ならばある程度環境に馴致してから公開するべきなのですが、そうもいかないので馴致期間を省略しました。展示開始当初は2号トンネルと同様なかなか動くモグラを見ることはできなかったのですが、企画展も終盤にさしかかった半月くらいたった頃、垂直トンネルを上がったり下りたりするモグラのすがたをタイミングが合えば見ることができるくらいにはなっていました。その後「モグラ展」は終了したのですが、そのままモグラの生体展示は継続することになりました。
 それから約2年、何度か個体の入れ替えを行い、若干のトンネル変更を加えながら現在もモグラトンネル3号は健在です。

現在のモグラトンネル3号。トンネルがかなり追加されて複雑な構造になっています。以前より動くモグラを観察できる機会が増え、かなり面白い展示へと熟成されてきたと思います(自己評価)。現在ここで4頭のコウベモグラを飼育展示しています。

現在のモグラトンネル3号。トンネルがかなり追加されて複雑な構造になっています。以前より動くモグラを観察できる機会が増え、かなり面白い展示へと熟成されてきたと思います(自己評価)。現在ここで4頭のコウベモグラを飼育展示しています。

展示個体も2頭から3頭、3頭から4頭へと増えました。またずっと天井トンネルから降りてこず、観察しにくいこともあったのでトンネルレイアウトを短縮し、間近でモグラを見られるコーナーも増設しました。
昨年末からは「子ども目線トンネル」として子どもの目の高さにトンネルを設置し、トンネルを走り回ったり、エサを食べる様子がさらに間近で観察できるようになりました。

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最近ではモグラの展示コーナーで足を止める来園者の方が増えたように思います。足を止める来園者の年齢層も小さな子どもさんから年配の方まで幅広く関心をもっていただいているようです。現在もさらにモグラトンネルは(私の気の向いたときに)少しずつ変化しており、これからもモグラの魅力を伝えるために日々進化を続けていきます。皆さんも機会があれば是非当園のモグラトンネルの前に足を運んでくださいね。

運がよければ複数のモグラが(→の部分にいます)トンネルですれ違うところも見ることができるでしょう。年中暗い土の中にいるモグラは3時間起きて3時間寝るという生活サイクルをしているので日中の活動するすがたを観察できる時間もタイミングがあえば可能です。(エサを与える時間の13時~14時頃にはほとんどのモグラが動いていることが多いです。)

運がよければ複数のモグラが(→の部分にいます)トンネルですれ違うところも見ることができるでしょう。年中暗い土の中にいるモグラは3時間起きて3時間寝るという生活サイクルをしているので日中の活動するすがたを観察できる時間もタイミングがあえば可能です。(エサを与える時間の13時~14時頃にはほとんどのモグラが動いていることが多いです。)

著者プロフィール

渡部大介(わたなべ・だいすけ)

1980年生まれ香川県出身。
宮崎大学大学院農学工学総合研究科博士後期課程修了、農学博士。
2005年より宮崎市フェニックス自然動物園勤務。
趣味は飼育できる動物は何でも飼育してみることと標本作製。中学時代は小鳥飼育に夢中になりすぎて先生につけられたあだ名が「ジュウシマツ」。

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