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Vol.14 モグラのトンネルを掘り出す?

2014.12.28

 モグラの生体展示を見た来園者の方々からよく耳にするのが「あのモグラトンネルの中で引っかかって動けなくなってるんじゃないの?大丈夫?」という会話です。モグラは地中生活に適応したため常に真っ暗な環境にいます。そのため視力は明暗がわかる程度とされていて、かわりに嗅覚や触覚にたよって生活しています。いわば体中がセンサーになっていて体にものが触れることで空間認識をしています。見た目はモグラが引っかかっているかのように見えるくらいが丁度いいのです。とはいうものの、これだけでみなさんが納得できるわけではないでしょう。

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そこで実際にモグラが掘ったトンネルの型をとることにしました。実際にモグラが掘ったトンネルの大きさを見ればモグラ人工トンネルがそんなにモグラにとっては窮屈ではないとわかってもらえると思ったからです。さっそく園内で野生モグラのトンネルを探します。園内のいたる所で普段からモグラのトンネルを確認していたので、ものの数分で見つけました。そのトンネルを今モグラが使っていないことを確認します。方法は簡単で、一カ所トンネルを上から踏みつけるだけです。翌日そのトンネルが補修されていればそのトンネルはモグラが使用中ですが、補修されていない場合は使わなくなったか、餌探し用に一時的に掘ったものだとわかります。その使わなくなったトンネルに充填材である発泡ウレタンを注入します。固まった後掘り出します。まるでサツマイモを傷つけないように注意深く掘る時の感覚でドキドキします。野生モグラは1頭が数十メートル以上のトンネルを使って生活していますから全ての型をとることはできませんから1メートルほどの断片で掘り出しました。その断面の直径を測ってみました。だいたい4センチ前後でした。細い部分は3センチくらいしかないようなところもありました。

モグラトンネルの断面。

モグラトンネルの断面。

現在展示に使っている人工モグラトンネルの直径は4センチでまさにぴったりだということがわかりました。せっかくなのでこのモグラトンネルの型は人工モグラトンネルの横に近いうちに並べて展示しようと計画しています。

モグラトンネルの実物から型取りしたトンネルの1部。展示用に土に似せて着色しています。

モグラトンネルの実物から型取りしたトンネルの1部。展示用に土に似せて着色しています。

著者プロフィール

渡部大介(わたなべ・だいすけ)

1980年生まれ香川県出身。
宮崎大学大学院農学工学総合研究科博士後期課程修了、農学博士。
2005年より宮崎市フェニックス自然動物園勤務。
趣味は飼育できる動物は何でも飼育してみることと標本作製。中学時代は小鳥飼育に夢中になりすぎて先生につけられたあだ名が「ジュウシマツ」。

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