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阿武隈山地は「ノアの方舟」

2011.7.26

阿武隈山地のなだらかな緑のトンネルのような渓流を釣り登ると腹部が橙色の陸封型のニッコウイワナが釣れてくる。古い地層がはぐくんだ純系イワナだ。

阿武隈山地は、「中通り」の阿武隈川と南西部を久慈川に囲まれた南北150㎞東西45㎞、大滝根山1193mを最高峰に、相双丘陵、常磐丘陵がつらなる広大な地域だ。東日本では格段に古い古生代デボン紀(4億年前)から中生代(2億2千5百万年前)の地層をふくみ、地図上の形は紡錘形をしているから、まるでノアの方舟のように際立っている。

古生代や中生代の地層は、太平洋と平行して相馬からいわき市四倉付近まではしる双葉断層と、それと平行してはしる畑川破砕帯に沿って存在する。断層の南部、いわき市北部四倉町八茎鉱山周辺にも古生代の石灰岩が発達しており、大小鍾乳洞がある。阿武隈山地中央部の「あぶくま洞」などの鍾乳洞は白亜紀に形成された。常磐炭田は上に海生化石を含む新生代漸新世(3千7百万年前)の地層が乗っているから新生代の起源だ。当時のいわき地方はうっそうとした森林地帯だったのであろう。

阿武隈山地の古生代・中生代の地層から発見された巨大アンモナイトやフタバスズキリュウ、ヒサノハマリュウ、ハドロサウルス、いわき市内から発見されたイワキリュウ、中部、四ツ倉層の新生代の地層から発見されたイワキクジラ、イワキゾウ、北西縁、新生代第三紀の柳川層から発見されたパレオパラドキシア、県南のデスモスチルスなどなど多彩である。まるでジュラシックパークである。

これら数々の化石は、「石炭化石館」、「アンモナイトセンター」などに展示されている。「アクアマリンふくしま」の展示は、進化の道標、生きた化石の展示からはじまる。このように、いわき地方にはすでに阿武隈ジュラシックパークの情報センターが整っている。阿武隈山地の「ノアの方舟」に乗ってみてはいかがでしょうか。

※ この文章は2002年1月9日に安部館長が書かれたもので、テキストならびに館の外観などは当時のまま掲載しています

著者プロフィール

安部義孝(あべ・よしたか)

1940年東京都生まれ
東京水産大学増殖学科魚類学教室卒業後、東京都恩賜上野動物園水族館勤務
1968-69年、クウェート科学研究所所員となる
帰国後、東京都多摩動物園昆虫園勤務を経て、東京都葛西臨海水族園長、東京都恩賜上野動物園長を歴任
2000年より(財)ふくしま海洋科学館・アクアマリンふくしま海洋科学館・アクアマリンふくしま館長
主な著書に「クウェートの魚」など

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