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Vol.25 タイ プーケット1 リゾートホテルで国際会議

2019.10.16

 連載12回目でも紹介したInternational Bat Research Conference(国際コウモリ研究会議)の第18回大会が2019年7月28日から8月1日までタイのプーケット島で開催された。コウモリ関係者が集まる国際的な大会の中でも最大規模で、今回は世界41ヶ国からさまざまな分野のコウモリ研究者や関係者が集まった。

スクリーンに映し出された「第18回国際コウモリ研究会議」

 国際会議は豪華なリゾートホテルで行われることが多く、一流ホテルにしては安く泊まれるには違いないのだが、私費で行くわれわれには無駄に贅沢すぎるので、通常は近くの安いホテルに泊まる。だが、今回は大会のホームページから参加費をクレジットカードで払おうとすると、一緒にホテルの予約をしなくてはならない。会場は5つ星のスレートホテルだ。念のために主催者に聞いてみたが、参加費だけ払いたい場合は銀行口座に送金してくれ、でも、せっかく5つ星ホテルに2500バーツ(8800円ほど)で泊まれるのだからわれわれと一緒に泊まろうよ、との返事だった。確かに広大な敷地に3つのプールとフィットネスと5つのレストランがあって、日本なら一泊5万円くらいしそうではある。迷っているうちに会場のスレートホテルの会議参加者枠が3月で満員になってしまい、学生に限るといっていたお隣の4つ星ホテル、ナイヤンビーチホテルが学生でなくても泊まれることになった。ここは一泊1500バーツ(5300円ほど)である。それでも東南アジアの相場からすれば、まだ高い。一応近所の銀行を2つまわってみたが、タイには送金できなかったり、送金手数料が5000円近くかかるようだ。そこで、ナイヤンビーチホテルに一泊だけ泊まって、2泊目からは荷物を引っ張って、一泊3000円ほどと更に安くて会場に近いタッチグリーンナイヤンという3つ星ホテルへ移動することにした。幸運なことに、会議会場は広大なスレートホテルの入り口の近くにあったので、このホテルはスレートホテルの敷地の奥の方の部屋に泊まるよりも会場に近かった。

ナイヤンビーチホテルの広いロビー 大きなウミガメの人形がお出迎え

7月27日ナイヤンビーチホテルにチェックイン。4つ星ホテルだけあって、普段われわれが泊まるホテルの感覚からすると2ランク上のホテルだ。

 夕方、目の前のビーチを散歩する。

 

夕暮れ時の海岸

 19時過ぎから、少なくとも2種類以上のコウモリが飛んでいることがバットディテクターの音声からわかった。Bats of the World A Taxonomic and Geographic Database(http://batnames.org/ [2019 年10月1日現在])によればタイには141種のコウモリが生息している。とてもではないが、バットディテクターの音声や写真だけでは同定できない。

種名のわからないコウモリ

 今回の会議の運営陣は既に到着している人もいるようで、スレートホテルのビーチ寄りの入り口の前を通ると、何人かに声をかけられた。この国際コウモリ研究会議や、同じく3年に一度ほどある東南アジアコウモリ会議Southeast Asian Bat Conferenceには常連さんも多いので、名前と顔を知っている人もたくさんいるし、直接話したことがなくても顔に見覚えがある。
 更に海沿いに歩くとシリナットゥ国立公園の入り口がある。この国立公園はこのあたり一帯に広がっているのだが、車用のゲートが突然現れて、説明はタイ語で読めないが、外国人は入場料大人200バーツ、子供100バーツと書かれている。ちなみに地元の人は大人40バーツ、子供20バーツ。とはいってもビーチ寄りを歩いて行けばゲートは通らないし、夕方になるとゲートには人がいなくなるので、結局払うことはなかった。さらに歩いて行くと河口があり、浅いので渡れなくはないが、コウモリ観察的には面白いことはなさそうなので引き返す。河口の先に海に突き出した半島があり、小高い丘に大きなホテルの残骸がある。双眼鏡で覗くと、上階でのんびり景色を見ている人がいる。完成しないまま放棄されたリゾートホテルのようだが、なかなかいいコウモリ屋敷に見えなくもない。

インドハッカ 世界中いろいろなところで外来種として見かけるが、ここでは在来種。

 さて翌28日、ナイヤンビーチホテルで豪華な朝食を食べていると、2015年に台湾でコウモリの会がコウモリフェスティバルを開催したときにお世話になった台湾の研究者に再会。台湾からはほかにもずいぶんたくさん参加していたが、彼らも今日からは近くの別の宿に移るそうだ。我々もタッチグリーンナイヤンに移動。
 とりあえずこの日は会場で受付をして、ポスター発表をするのでポスターを張る。

われわれのコウモリの日中飛翔についてのポスター発表

 台湾雲林県の黄金蝙蝠生態館は、Myotis formosus(最近クロアカコウモリとは別種になって和名がまだないので、仮称タイワンクロアカコウモリ)の出産哺育場所で保護研究や一般の人へのコウモリに関する普及活動をしている施設だ。今回の研究会議の後援をしていて、ポスター会場にはタイワンクロアカコウモリのグッズだらけの売店を開いていた。ここの代表張恒嘉さんとは台湾でのコウモリフェスティバル以来の再会。

コウモリグッズの売り場

買ったり、頂いたりした黄金蝙蝠のコウモリグッズ

 スレートホテルの庭の芝生広場には大きなガジュマルの仲間の木がそびえ立ち、実がたくさんついていて鳥が食べに来ている。芝生の上を探すと、フルーツバットが食べた跡のペリットが落ちている。夕方19時頃様子を見にいくと、5種くらいの大小の食虫コウモリが飛び交っていた。一瞬オオコウモリが飛んだので、夕食を食べに行った後も更に観察を続けたが、その後は見られなかった。

種名のわからないコウモリが飛ぶ(連写した写真を合成)

 一泊3000円のわれわれの宿タッチグリーンナイヤンだが、庭がありプールがありジムもあって、これでもまだ我々には少し贅沢。29日朝、庭を散歩しているとシロハラクイナやオウギビタキが見られた。

シロハラクイナ

 今日は、はじめに開会式があって、これからいろいろな発表が始まる。

著者プロフィール

大沢啓子(おおさわ・けいこ)・大沢夕志(おおさわ・ゆうし)

1988年に南大東島でオオコウモリに出会って以来、コウモリに惹きつけられ、世界を巡って観察している。講演会や観察会、企画展示、書籍など、コウモリの魅力をたくさんの人に伝える活動をしている。動物園にやってくる野生のコウモリの観察会をすることもある。コウモリの会評議員、日本自然科学写真協会理事(夕志)。主な著書『身近で観察するコウモリの世界』『コウモリの謎』(誠文堂新光社)、『オオコウモリの飛ぶ島』『ふたりのロタ島動物記』(山と渓谷社)、『南大東島自然ガイドブック』(ボーダーインク)など。

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