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Vol.1 鹿児島を代表するウミウシ「コノハミドリガイ」

2017.6.4

こんにちは!
かごしま水族館からはウミウシのお話をお伝えしてまいります。

初回はこちら。

コノハミドリガイですね。
言わずと知れた(?)普通種のウミウシです。
日本全国、けっこう広い範囲に分布しておりますが、あまり北に行くといないかもしれません。南は沖縄まで確認しております。コノハミドリガイはハネモ類やマユハキモ類などの緑藻を専食するのでそれらの藻類が繁茂する浅い水深にいることが多く、シュノーケリングでも簡単に見つけることができます。
本州のとある海岸では3cm程度の個体がちらほら見つかる程度でしたが、鹿児島のコノハミドリガイはとにかく大量で、しかも巨大になります。当館前の水路には毎年晩秋になると何百という数のコノハミドリガイが出現し、生存競争に勝ち残った強者たちは大きく大きく成長します。

巨大コノハミドリガイ。なかには10cmを超えるものも。

コノハミドリガイの研究者たちの間では錦江湾(鹿児島湾)のコノハミドリガイの巨大さは有名なのですが、どうして錦江湾だけ巨大化するのかはよくわかりません。しかし、最近天草でも同程度のサイズのコノハミドリガイを確認しましたので、少なくとも錦江湾限定というわけではなさそうですね。

さて、このコノハミドリガイを含む「嚢舌類」というグループに属するウミウシたちは、概して体が緑色なのですが、これには理由があります。餌となる藻類から葉緑体を取り込み、体内で保持したままその能力を使用することができるのです。動物が植物を取り込んでその中の細胞小器官を(消化せずに)そのまま利用できるのはとても不思議なのですが、とにもかくにもそんな生活を送るために葉緑体の色が透けて緑色に見えています。

ということは、餌がなくなるとどうなるのか。葉緑体の保持能力は種類によってずいぶんと差があるようですが、いずれにせよ永久に葉緑体を保持できるわけではなく、定期的に摂取しないといけません。餌の不足とともに体内の葉緑体も少なくなっていき、結果として体色からもどんどん緑が失われてしまいます。

白っぽいコノハミドリガイ

こちらは餌を豊富に食べている濃い色のコノハミドリガイ

餌が豊富な時期はとにかく濃い緑色をしていますが、餌がなくなってくるとどんどん色が抜けて白っぽくなってしまいます。これは言わばコノハミドリガイの危険信号。
おなか減ってます!の合図です。
海で見かけたらぜひお近くのハネモまで連れて行ってあげてください。

著者プロフィール

西田 和記(にしだ・かずき)

1987年、愛媛県生まれ。
2010年 鹿児島市水族館公社(いおワールドかごしま水族館)入社。
深海生物、サンゴ、ウミヘビ、クラゲなどを担当する傍ら、ウミウシの飼育・展示・調査に勤しむ。ウミウシ類の飼育技術の確立が目標。

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