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Vol.8 夜潮調査で400種目

2018.3.11

冬の空の下でもずいぶん暖かくなってきた鹿児島です。
ウミウシシーズン本番なので、大潮の日は海に出て調査を行っています。
(2回連続調査ネタですみません。。。。。)

冬の海は昼よりも夜の方が潮がひくため、真夜中の1時頃の調査になります。
眠い目をこすりながら、胴長と懐中電灯とヘッドライトとピンセットとプラケースを持って夜の浜へとおりていきます。

ウミウシがいるのは転石がごろごろ転がっていて、タイドプールなどもできるような磯が好ましいと思います。
ちょっとした干潟や砂地などもあるとそういった場所を好む種も同時に調査できます。

大潮の日は満潮時間には潜水調査、干潮時間には磯調査と分けると1日無駄なく調査が行えます。(体力的には相当疲れますけどね)

このような環境で調査をしています。
ちょっと不審者っぽいので、間違われないようにみなさんも十分注意してくださいね。
そして冬はとんでもなく寒いので防寒対策もしっかりと行ってください。

無数にある転石を片っ端からひっくり返してウミウシをさがします。
ここで少し難しいのは、ウミウシが水中で見る姿とは異なって見える点です。
水中ではえらや触角がきれいに伸びて、ゆっくりと這っていく姿からウミウシだと判断もできます。
しかし干上がった岩の裏にいるウミウシは自分の粘液で乾燥を防いでいるのみで水に浸かっていないことも多いのです。
この場合、ウミウシは触角もえらも引込めているか、倒れていたりするため、ウミウシの形をしていません。しかもほとんど動きません。
ちょうどこんな感じです。

「え?ウミウシどこ?」と思う方も多いでしょう。
中央の半透明のぷっくり膨れた球体、これがウミウシです。
粘液でつやっぽく見えるのがヒントになるかなぁと思いますが、似た生きものもいるのであとは慣れです。
水の中で見るとこんな感じ。

このウミウシはマダラウミウシ(クロシタナシウミウシと同種とする見方もある)でした。

こちらは持ち上げた岩の中央に・・・・2匹身を寄せ合っているのがわかるでしょうか。

こちら水中で写真を撮りなおすとこんな感じです。

イロミノウミウシ(イズミミノウミウシと呼ばれることもある)です。

このようにしてウミウシを探しながら調査を行います。

さて、私は2010年から鹿児島県内の海でウミウシ調査を行ってきました。鹿児島県は離島が多いのでまだまだ未調査の海域も多いのですが、県内だけでこれまでに399種類のウミウシを発見してきました。
昨年7月からオープンした「うみうし研究所」の展示開始時には、それまでに記録したウミウシ類380種の写真展示も行っていましたが、7月以降の調査で19種類増えたということになります。あと1種見つければちょうどきりよく400種ということで、今回は記念すべき1種を誰が見つけるか競いながらの調査となりました。

今回発見された400種目がこちら

イバラウミウシです。
以前に紹介したシロイバラウミウシの仲間ですね。
摂餌シーンは確認できませんでしたが、おそらくコケムシ食と思われます。
調査を重ねると初記録種はどんどん頭打ちになり、発見できなくなっていきます。
今回はこのイバラウミウシともう1種未同定のミノウミウシのみ初記録で、他は全てこれまでに発見したことのある種でした。ミノウミウシの方はまだ同定結果が出ていないので厳密には初記録にはしていません。

日本からはこれまでに1300種類以上のウミウシが見つかっています。
400種で喜んでいる場合ではないほどまだまだ先は長いのですが、鹿児島のウミウシの多様性を理解し、発信すべく、今後も調査に励んでいきたいと思います。

著者プロフィール

西田 和記(にしだ・かずき)

1987年、愛媛県生まれ。
2010年 鹿児島市水族館公社(いおワールドかごしま水族館)入社。
深海生物、サンゴ、ウミヘビ、クラゲなどを担当する傍ら、ウミウシの飼育・展示・調査に勤しむ。ウミウシ類の飼育技術の確立が目標。

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