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Vol.97 ヒメエボシ

2024.12.27

 今回ご紹介するのはタカアシガニの甲羅にくっついているヒメエボシです。タカアシガニやオオエンコウガニなどにくっついて水族館にやってきますが、くっついているのであまり生物としてカウントされていないのか認知度があまり高くない生き物です。竹島水族館でも魚名版が出ているにもかかわらず全然気づかれません。タッチプールにいるタカアシガニの背中にくっついているヒメエボシに気づいた人が「なんだこれ?」とようやく質問してくれるくらいです。ちょっと小さすぎてあまり目に入ってこないようです。


 この子たちはだいたい2cmくらいの大きさで、見た目が貝っぽいですが貝の仲間ではなく甲殻類の仲間です。以前紹介したミョウガガイなどの仲間で、蔓脚類というグループです。フジツボなどもこのグループに入ります。水槽でしっかり観察してもらうと蔓脚と呼ばれる脚のようなものを広げてエサをとっているところが見えるかと思います。普段はタカアシガニなどにくっついているので一緒にいどうしていますが、この子たち自身はその場から動けないので、タカアシガニが脱皮するとそのままおいていかれてしまう、ちょっと残念な生き物です。

著者プロフィール

戸舘 真人(とだて・まさと)

東海大学大学院水産学専攻博士課程前期 修了
学芸員
2010年 蒲郡市竹島水族館 勤務。
以降、海水魚、深海生物、カリフォルニアアシカなどの生物や広報、物販などの担当。
2015年 カピバラ、事務、経理も担当。

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