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Vol.24 卒業

2014.4.2

3月は卒業の季節です。
ミモザの花が黄色にそよぎ、沈丁花が香る頃、これまでさまざまな卒業式を思い出します。

今年は、大牟田市動物園からマンドリルのリエルちゃん(メス)が卒業して、繁殖を目的に関東の動物園に旅立ちました。
リエルちゃんは2歳で、お母さんのもとを離れて、オスのいる動物園で新たな生活を始めることになったのです。

 

 

旅立ち直前の日曜日には、リエルちゃんとファンの方々のお別れ会がありました。
大好きなバナナとみんなからの寄せ書きが贈られました。
寄せ書きには「元気でね」と励ましのあたたかいメッセージが書いてありました。

その翌日は、輸送前の健康検査のため動物病院の檻に移す作業をしました。
予定では睡眠薬入りのバナナを食べて、ちょっと眠ったころ、麻酔用吹き矢で麻酔して、スムーズにいくはずでしたが、昨日のお別れ会で気づいたのか、なかなか眠ってくれません。吹き矢も毛が長いので刺さりにくくうまくいきません。
夕方になり、最後の手段で麻酔銃を使ってやっと捕獲・移動しました。

 

 

2歳のリエルちゃん、5~6kg位と思って、睡眠薬などを調合してやっていましたが、測ってみると9kgもあり、なかなか眠らなかった理由がわかりました。

そんなこんなでしたが、3月6日の朝、飛行機で無事に旅立ち、その日のうちに関東の動物園に行きました。

翌日からのマンドリルの群れは、日常とかわりなく平穏でした。

 

 

マンドリルは、アフリカにいるサルで、「ライオンキング」の長老役の顔に模様があるサルです。マンドリルのオスは顔には青と赤のとっても鮮やかな模様があります。
メスにもオスほどではありませんが、顔に青い模様があります。
リエルちゃんの行った動物園のオスのマンドリルはとっても顔の模様がきれいで、マンドリル界のイケメンのようです。
美男美女のペアで、かわいい赤ちゃん情報が届くのを楽しみにしています。

さて、リエルちゃんと同様、私も大牟田市動物園を卒業します。

 

 

去年の4月から大牟田市動物園で動物たちと一緒にやってきて、とっても楽しかったです。
キリンのリンちゃん、レッサーパンダの空・レン・ショウタ君、オオカンガルーのお年寄りたち、ジャガーのしずかちゃん、ライオンのアサヒとリル、あげていったらきりがありません。

週に2日でしたが、動物たちは私を覚えてくれていたようです。
うれしかったです。

 

 

ゾウのハナコ、ラマ、レッサーパンダ、ムフロン、ヒツジ、カンガルー、リクガメなど助けられなかった動物もいますが、そのたびにいろいろな大切なことを教えてくれました。

たった1年間でしたが、33年間の獣医師人生の中でとっても有意義な一年だったと思います。

大牟田市動物園のスタッフの皆さんと動物たちに心から感謝いたします。
(卒業謝辞 高田真理子)

 

 

4月から、リエルちゃんと同様新しい生活を始める予定です。
皆さん、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

著者プロフィール

高田 真理子 (たかた まりこ)
1957年5月4日 福岡市生まれ。筑紫女学園高校を卒業後、宮崎大学農学部獣医学科を1981年に卒業し、獣医師となる。
動物が大好きで小学生の頃から動物園の獣医さんを志して、1983年に念願の海の中道海浜公園・動物の森の獣医さんになった。
以降30年間にわたり動物たちの治療や衛生管理を行ってきた。その間、動物の世話や治療だけではなく、「動物をもっと好きになって、動物ってすごいよ、すてきだよ」と子ども達に『動物の森一日飼育員』『動物ふれあい教室』等のイベントを行なったり、機関誌『動物の森だより』を作ったり、動物相談に応じたり、動物の森ZOO ボランティア育成を行ったり動物に関する事の全般を行った。
2013年4月からは福岡県の大牟田市動物園で獣医師として新たな動物園ファン作りをしています。
九州沖縄ブロック動物園水族館獣医師臨床研究会(kozavg)代表。現在福岡市東区在住。
学芸員、社会教育主事、プロジェクトワイルドファシリテーター、公園運営管理士。

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