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Vol.11 スーチョワンバーラル(オス)の捕獲と治療

2015.1.30

スーチョワンバーラルは恋の季節になると、オス同士の角突きが頻繁に行われるため、顔面を負傷する事が多くなります。
ス-チョワンバーラルのオスの成獣は、体重60kgになり、その大きな角を振ってくるので、普通は麻酔をしないと、簡単な裂傷の治療とはいえ、行うことはできません。

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ところが金沢動物園では伝統的にロープを角に引っかけ、フェンスに縛り付けるという方法で、麻酔することなく治療を行うことができるようになっています。

ですから逆に角の小さなメスにはこの方法は使えないので、タイミングを合わせて無理矢理押さえつけるしかないのです。
体が小さく力も弱いので押さえつけてしまえば大丈夫なのですが、岩山に住む動物ですので、垂直の壁を回り込みながらジャンプして走り回るのでかえって危険です。

今日は動物園の裏側で行われている動物の捕獲と、治療の例をスーチョワンバーラルで見てみましょう。

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ここがスーチョワンバーラル舎です。
キーパー通路と右手に寝室のオリが並んでいます。
さてまずは担当者が竹竿の先のフックにロープをループ状に引っ掛けて、寝室内のバーラルの角にロープの輪を引っかけようとしています。

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そ~とロープの輪を角に引っ掛けていきます。
少し嫌がって首を振るので、両方の角が入るのに手間取っています。

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両角の根元にもう少しでしっかり入りそう・・・。
入ったら竹竿のフックからロープを外し、ロープを素早く引っ張ります。

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ちょっと見にくいですが、ロープを引っ張り寝室のフェンスに縛り付けると頭をほとんど動かせなくなります。
そうすると安全ですので、応援の飼育員が二人横の扉から寝室内に入り、頭と腰をそれぞれ押さえつけます。

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獣医が寝室に入り、目の上の裂傷の具合を確認し消毒します。

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ちょっと暗いので見にくい(動物が驚くのでフラッシュは使えない)ですが、
最後に注射をお尻に打っておしまいです。

著者プロフィール

原 久美子 (はら・くみこ)

1959年生まれ。東京都出身。日本女子大学(現)理学部の卒論で動物園にはまり、上智大学院理工学研究科修士課程修了。
1985年から野毛山動物園に勤務、主に鳥類の飼育に携わる。横浜市繁殖センター、市役所動物園管理部門を経て2012年から金沢動物園園長。

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