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Vol.38 陸上最大のどうぶつ

2017.10.30

今回は、金沢動物園で実施しているオスゾウのトレーニングやケアについて紹介します。

金沢動物園では、オスのボンに対しては、柵越しにアプローチして世話をする「準間接飼育」という方法で飼育しています。
オスゾウは一般的にオトナになると気が荒くなり、時には攻撃的になることもあります。
そのため、お互いの安全を確保するため、飼育員がボンのいる柵の中に入ることはありません。

では、どのように世話をしているかというと、

柵に体を寄せさせて肌に乾燥防止のオイルを塗ったり、

足を出させて洗ったり、時には蹄を削って形を整えたりもします。
このようなケアはゾウを無理やり押さえつけて行うことはできません。
飼育員が望んでいる動きをボンが上手にできたときにサツマイモなどのご褒美をあげることで、正しい動きを教えています。
ゾウの自主的な協力が必要なトレーニングなので、ボンの気分次第ではうまくいかない日もありますが、
だいたいはとても協力的に指示に従ってくれます。

ボンが足を出すための台や、飼育員の安全を確保するための柵など、いろいろ制約がある中で、どれだけ安全にボンに必要なケアをしてやれるか試行錯誤の連続です。
飼育員として、ゾウの要求をすべて満たしてやりたいと常々思いますが、それが難しいのも現実です。
陸上最大の動物の飼育環境を理想的な環境で飼うためには、たくさんの課題があります。
大変なこともありますが、ボンやヨーコ、チャメリーが、いつまでも健康で長生きできるように付き合っていきたいと思います。

著者プロフィール

原 久美子 (はら・くみこ)

1959年生まれ。東京都出身。日本女子大学(現)理学部の卒論で動物園にはまり、上智大学院理工学研究科修士課程修了。
1985年から野毛山動物園に勤務、主に鳥類の飼育に携わる。横浜市繁殖センター、市役所動物園管理部門を経て2012年から金沢動物園園長。

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