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Vol.64 ゾウのベッド

2020.1.22

 早速ですが問題です。ゾウはどんなふうに寝るでしょうか?2択です。
①立ったまま寝る。
②横になって寝る。
ピッ!ピッ!ピッ!ポーン…正解は、両方です。
 野生のゾウは、天敵から逃げやすいよう、立ったまま寝るのが一般的です。ただし、大人たちに守られている子ゾウは横になって寝ます。それを考えると、その方がやっぱり楽なんでしょうか。それを裏付ける証拠として、天敵のいない金沢動物園のゾウは、大人ですが横になって寝ます。

写真は、夕方にボンが寝ている様子です。飼育員が勤務中の時間帯に、このような姿で寝ることは非常に珍しく「死んじゃったのか?」とかなりびっくりしました。大きなゾウが横になることで、床に当たる腰などにも負担がかかっているようです。

ボンの腰には床ずれができてしまっています。それに加えて、日頃より、6tの巨体を支えている足への負担軽減も目指し、ゾウ達の寝室への改良を施しました。

こんな感じです。何かわかりますか?そう、おが粉です。横浜市では、街路樹などの剪定枝を処理するためのリサイクルプラントがあり、そこで安く購入できるおが粉は格好のクッション材となります。20cm程度の厚みで、かなり柔らかく、これまでの固い床と比べるとだいぶ居心地が良さそうです。

ただでさえ良く眠るメスのヨーコは、心地よいのか、さらに睡眠時間が伸び、人間並みの7時間も寝ることがありました(通常、ゾウの睡眠時間は4~5時間程度です)。狙っていた足への効果もてきめんで、早速良い方に変化が見られています。

ボンの後ろ足裏面です。ゾウの足にはスリップ防止の溝が入っていますが、これが踏みつぶされて汚れが閉じ込められる、ということがなくなりました。今後もゾウ達の快適空間作りに邁進しよう、と誓う今日この頃です。

著者プロフィール

原 久美子 (はら・くみこ)

1959年生まれ。東京都出身。日本女子大学(現)理学部の卒論で動物園にはまり、上智大学院理工学研究科修士課程修了。
1985年から野毛山動物園に勤務、主に鳥類の飼育に携わる。横浜市繁殖センター、市役所動物園管理部門を経て2012年から金沢動物園園長。

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