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Vol.42 ウミグモ

2019.8.27

 竹島水族館には色々な深海生物がいますが、それぞれ変わった特徴を持っています。たま~にあまり特徴のない子もいますが、それなりに個性豊かです。そんな変わった特徴を持つ深海生物の中でも一際変わっている生物がいるのですが、それはウミグモの仲間。見た目はクモの様ですが、クモの仲間ではありません。現生のウミグモはすべて皆脚目、クモはクモ目です。

 

 

 さて、何が変わっているかというともう色々変わっていて、まず見た目からしてかなり不思議。胴体は小さく、あとはほとんど脚。「ほとんど脚?」というとホントに意味が分からないと思いますが、これがまた本当だから何とも言いようがありません。体が小さくてほとんど脚ならどこに内臓があるのかというと、なんと脚の中にあります。消化管や生殖腺も脚の中、鰓などもなく皮膚呼吸というか脚呼吸。ちなみに心臓はあるのですがとても小さく弱いらしく、腸を心臓の代わりに使って体液を体中に循環させているそうです。

 

 

 そんな不思議生物なウミグモたちですが、やはりというかなんというか、系統や生態はまだまだ解明されていない部分がおおく、飼育していてもよく分からないことだらけです。いくつかの種類ではカイメンや刺胞動物の体液を吸う事が知られていますが、自由生活を送っている子もいて一体何を食べているのやらさっぱりわからない。竹島水族館には3種類ほど展示しているので、それぞれ色々な物をあげてみたのですが、普段ほとんど動かないのでリアクションで反応を見るのはかなり難しい。唯一リアクションが分かるのがヤマトトックリウミグモという種類で、冷凍されたブラインシュリンプというエサをあげると突然動き始めます。でもこの子、イソギンチャクの体液を吸って生活するタイプのウミグモなので、なんで冷凍のブラインシュリンプで動き始めるのかは謎。他にヨロイウミグモとベニオオウミグモがいるのですが、どちらもイソギンチャクの体液を吸っていそうです。

 ちなみに一緒に水槽に入っているイソギンチャクも種類不明で(なんか竹島水族館にはたくさんいる)、今まさに専門家に問合せ中という、よくわからない生き物同士の水槽が出来上がっています。

著者プロフィール

戸館 真人(とだて・まさと)

東海大学大学院水産学専攻博士課程前期 修了
学芸員
2010年 蒲郡市竹島水族館 勤務。
以降、海水魚、深海生物、カリフォルニアアシカなどの生物や広報、物販などの担当。
2015年 カピバラ、事務、経理も担当。

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