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Vol.55 雲母と書いて「きらら」と読むんです

2020.10.26

 突然ですが、10年近く深海生物を担当していると、深海生物なら何でも大好物だと思われがちなのですが、唯一見るたびに頭を悩ませるのが貝の仲間。他の生物だと何となくですが何の仲間かわかるのですが、貝の仲間だけはよくわからない。図鑑を見ていても「さっきと同じ貝じゃないの?」という種類がいっぱいいます。そもそも種類数も魚よりずっと多いし、深海の貝となるとよく見かけるメジャーなもの以外が来るとしばらく悩みます。
 そんな貝の中でも、皆さんにはあまりご縁がないと思いますが、知っている人の中ではわりとメジャーなのがオオキララガイという今回ご紹介する貝です。キララというなにやら可愛らしい名前は殻の内側に光沢があり、ウンモ(雲母)を思わせるところから付いたそうです。で、タイトルにある通り「雲母」と書いて「きらら」と読むので、漢字表記だと大雲母貝となるわけです。ちゃんとPCでも漢字変換で出てきます。オオキララガイは房総半島・日本海中部以南から九州の水深50~500mの泥底に生息しているらしく、浅いところにもいるにはいるようです。オオキララガイは結構化石で発見されるらしく、太古から姿かたちがあまり変わっていないようです。生きた化石というやつですかね。竹島水族館では化石ではなく生きた状態で展示していますが、動かないのでちょっと地味です。
 ちなみにこのオオキララガイもフカミキララガイというぱっと見ではまったく区別のつかない貝がいて本当に難儀します。だって他の担当も貝が来ると見ないフリするんだもの。

著者プロフィール

戸舘 真人(とだて・まさと)

東海大学大学院水産学専攻博士課程前期 修了
学芸員
2010年 蒲郡市竹島水族館 勤務。
以降、海水魚、深海生物、カリフォルニアアシカなどの生物や広報、物販などの担当。
2015年 カピバラ、事務、経理も担当。

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