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Vol.20 動物園ってなに? Part XII ~ 法律の中の動物園 6 ~

2014.4.6

【特定飼養施設の掲示】
 動物園の展示施設の前で、写真のような掲示を見たことはありませんか?もし見られたとしたら、おそらく「なんじゃこりゃ!」と思われたことでしょう。実は、この掲示は『動愛法』と関連があります。本法の施行規則の「特定飼養施設の構造及び規模に関する基準の細目」に掲出の義務が課せられているのです。この掲示自体に解説が必要なのかもしれませんが、そのためには動愛法のみならず『動物の愛護及び管理に関する法律施行規則』や『特定飼養施設の構造及び規模に関する基準の細目』を説明する必要があり煩雑極まりありません。さらに、この掲示の許可番号に記載されている機関名にも「なんじゃこりゃ!」ではなかったでしょうか?各地方自治体で本規則を担当するのが衛生部局であるため、このような機関名が記されているのです。元保健所職員であった私でさえ、幾度見ても違和感を持ってしまうので、一般の来園者の疑問は相当ではないかと思います。

さて、その動物園に関わる重要な法律である動愛法ですが、正式名称は『動物の愛護及び管理に関する法律』です。昭和48年(1973年)10月1日に制定され2013年6月12日に改正されました。

参考URL:
『動物の愛護及び管理に関する法律』
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S48/S48HO105.html
『動物の愛護及び管理に関する法律施行規則』
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18F18001000001.html
『特定飼養施設の構造及び規模に関する基準の細目』
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/nt_h180120_21.pdf

 

 

【動愛法と動物園】
動愛法は、動物園と密接な関係があるにも関わらず、法文の中に動物園の名称が一切出てきません。動物取扱業者の中に括られているだけです。すなわち、「動物の販売(その取次ぎ又は代理を含む。次項において同じ。)、保管、貸出し、訓練、展示(動物との触れ合いの機会の提供を含む。次項において同じ。)その他政令で定める取扱いを業として行う」(本法第十条)展示業者のひとつとして扱われています。ペット(法律用語)の展示や販売業者とほぼ同列の扱いなのです。環境省が啓蒙のために配布しているパンフレットを見ると、これに動物園が該当するのか?という疑念を拭い去ることができません。

参考URL:
『動物の愛護及び管理に関する法律が改正されました <動物取扱業者編>』
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2508a.html

【動物取扱業としての動物園】
2013年に動愛法の改正が検討された際は、日本動物園水族館協会が要望を寄せています。それは、動物園が動物取扱業の中の展示業として扱われることで、希少種の域外保全などに関して諸種の問題が生じるため、「現行の法において当協会に加盟する有料園館は動物取扱業の登録等の義務が課せられるなど、動物園・水族館が社会的な施設としてその機能を果たしていく上で、動物を扱っているということだけで単純に位置付けられていることに起因する問題があると思慮しております」という内容でした。
 それに対して本法の所轄官庁である環境省は、外すための基準の設定が困難という問題点を挙げました。「動物園水族館法等の法的規制が無い現状においては、動物取扱業の「展示」業の枠から外すための基準の設定が困難」という理由からです。つまり、動物園水族館に関わる(その設立を規制する)法律がないため、動愛法による規制が有効(必要)であると判断されたのです。
 国際的な希少種の保護繁殖を図り、そのための保全教育を進める動物園が、単なる動物展示業者として法律上は扱われているという現状を、どのように変革してゆくのか?それが今の日本の動物園(およびその存続)に課せられた大きな命題になっています。

参考URL
『動物の愛護及び管理に関する法律』の改正に向けての日動水の要望書
http://www.jaza.jp/jaza_pdf/library_jaza/aigokanriyoubou.pdf
『業種緩和の検討(動物園・水族館の緩和検討)』
http://www.env.go.jp/council/14animal/y143-09/mat03.pdf

著者プロフィール

村田浩一(むらた・こういち)

1952年神戸市生まれ。
1978年から2001年まで、神戸市立王子動物園で獣医師として働く。
2001年、日本大学生物資源科学部へ転職し、2011年からは、よこはま動物園ズーラシア園長を兼務。日本野生動物医学会会長(現顧問)、IUCN/Wildlife Health Specialist Group東アジア地区委員長。専門は野生動物医学、動物園学。楽しく学べる動物園を目指して、日々、動物園内で主に楽しんでいる。趣味は、自然の中で静かに佇むこと。

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