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Vol.21 動物園ってなに? Part XIII ~ 法律の中の動物園 7 ~

2014.5.7

【その他の動物園関連法】
これまで、動物園に関わる法律や規則について述べてきました。他にも、動物園と密接に関連した法律や規則や条約は少なくありません。たとえば、国内外の絶滅のおそれのある野生生物の保護に関する『種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)』は、動物園で希少種を飼育する上で重要となる法律です。この法律については『動物園法(仮称)』の制定とも深く関係しています。また、タンチョウやニホンカモシカなどの特別天然記念物を飼育する上では、『文化財保護法』に基づいた手続きが必要となります。野生動物の国際間移動では『ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)』も関わってきます。しかし、この連載では単なる動物園関連法の紹介ではなく、動物園に法的定義が存在しない問題を考えていただくことを目的としましたので、これ以上の詳細な解説は止めておきます。動物園に関わる各種法律に関しては、『新飼育ハンドブック動物園編2収集・輸送・保存』などの図書や総務省が運営する総合的な行政ポータルサイトを参考にしていただければと思います。

『種の保存法の解説』
http://www.env.go.jp/nature/yasei/hozonho/
『文化財保護法』
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO214.html
『ワシントン条約』
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/cites/
『e-Gov(イーガブ)』 http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi

特別天然記念物の動物を飼育展示するには、文化庁長官の許可が必要です。

【動物園法の検討】
前回の記事で、『動愛法(動物の愛護及び管理に関する法律)』について触れました。本法では動物園が動物取扱業として取り扱われ、希少種の飼育展示であっても家畜と同様の飼養手続きを要する問題点が指摘されています。そのため、動物園の役割を明確化するために新たな法律制定が求められたのです。そこで環境省は、動物園における「種の保存や環境教育のさらなる推進や、適切な動物飼養への改善」を進めるために、昨年度、動植物園等公的機能推進方策のあり方検討会を設置して、公的機能の推進方策等について議論を行ってきました。
この議論の結果は未だ公表されていませんが、おそらく動物園が種の保存を行う上で確保すべき条件が明示されるのではないかと考えられます。この法案に対して、動物園界のみならず一般の方々からどのような意見が寄せられるのかを期待しています。なぜなら、議論が高まれば高まるほど、現状の動物園がもつ様々な問題点が浮き彫りにされ、それに対する批判も含めた各種意見を前進的に検討することで、より理想に近い動物園を追い求めることができるかもしれないと思うからです。

『動植物園等公的機能推進方策のあり方検討会の設置について』
http://www.env.go.jp/council/12nature/y125-03/mat04.pdf
『第1回 動植物園等の公的機能推進方策のあり方検討会の開催について』
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=17260

著者プロフィール

村田浩一(むらた・こういち)

1952年神戸市生まれ。
1978年から2001年まで、神戸市立王子動物園で獣医師として働く。
2001年、日本大学生物資源科学部へ転職し、2011年からは、よこはま動物園ズーラシア園長を兼務。日本野生動物医学会会長(現顧問)、IUCN/Wildlife Health Specialist Group東アジア地区委員長。専門は野生動物医学、動物園学。楽しく学べる動物園を目指して、日々、動物園内で主に楽しんでいる。趣味は、自然の中で静かに佇むこと。

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