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Vol.1 大震災を乗り越えて今年50周年

2015.5.27

 仙台市八木山動物公園は、昭和40年10月15日に開園し、昭和53年に爬虫類館、昭和57年にガン生態園、平成11年にアフリカ園のリニューアル、平成14年に猛獣舎のリニューアル、平成22年ビジターセンターを整備し、今年50周年を迎えます。

 この50周年を祝福するかのように、昨年の冬から今年にかけて、飛来したシジュウカラガンの数が、当初目標としていた1,000羽を超えました。動物園が域外保全活動をしていると堂々と言えるのは、域内保全に貢献して初めて言えることで、これまでの苦労が報われました。(この功績が認められ、当園は、今年5月10日に環境省から野生生物保護功労者の環境大臣賞を受賞することになりました。環境省記者発表5月初め)

 今年12月6日開業予定の地下鉄東西線の西の始発駅が八木山動物公園駅です。地下鉄の駅の中で日本一標高が高い場所に位置します。構内の天井には、陽光が差す中をシジュウカラガンが羽ばたく姿が描かれていたり、壁には動物の写真、足元には動物たちの足跡があり、楽しさあふれる空間となっています。

 また、来年には園内の中央広場に、(仮称)ふれあい動物園がオープンする予定です。この施設を整備することにより、当園としても今まで実施できなかった環境教育プログラムを広く展開することが可能となるため、教育現場と動物公園との連携強化につながることが期待されています。中央広場とその周辺は「動物にふれるゾーン」と位置付け、動物と人との関わりや生き物の命のぬくもりを体感するふれあいの丘として整備する予定です。

 

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 平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、ライフラインや物流が遮断されて、停電が3日間、断水は10日間、都市ガスは36日後に復旧と、動物のための飲み水、暖房用燃料、それに飼料の確保に大変苦労しました。そんな状況の中、(公社)日本動物園水族館協会が中心となり、当園の不足している飼料を全国の動物園と水族館から集めてくれました。これらの支援物資により、動物たちの命が救われました。震災で直接的な被害を受けた動物はいませんでしたが、チンパンジーが代換えの飼料を食べず、低血糖性の昏睡に陥ったり、カバがそれまで温水で維持していたのを、震災後に水で管理したことにより起立及び歩行困難となりました。しかし、懸命の治療や温水用の燃料を確保して、何とか回復しました。4月23日には再開園することが出来、たくさんの入園者が訪れ、動物を見て癒され、元気をもらって帰られました。

 八木山動物公園は、自然の環境に近い姿での生態展示が特徴で、アフリカ園のビューポイントでは、アフリカゾウ、シマウマ、キリン、ダチョウが一望でき、猛獣舎では、ライオン、スマトラトラ、ホッキョクグマがガラス越しに間近で迫力ある姿を見れます。また、飼育員がアフリカゾウに声をかけて、足を上げさせたり寝かせたり、血液を採る練習などを毎日午後に行っている様子が観覧通路から見れます。運が良ければ、国内では当園だけが行っているオスのゾウの肛門マッサージよる精液採取の様子も見れます。

 平成25年5月21日には、国内で15年ぶりにスマトラトラの繁殖に成功しました。両親は、震災後に復興のシンボルとしてホノルルとバーガーズ動物園(オランダ)から来園し、4頭の子ども共々、被災した我々に元気を与えてくれました。

 今年は開園50周年と地下鉄開業特別イベントを開催する予定ですので、当園のホームページ等をチェックの上、ぜひご来園下さい。

著者プロフィール

阿部敏計(あべ・としかず)

1956年山形県生まれ。
小さい時からネズミや鳥を捕まえては自宅で飼っていました。
そして、近くに小さな児童動物園があり、母親の実家が仙台で、夏休みといえば八木山動物公園に行っていました。
そんな、そんなで動物園で働きたいと思うようになりました。
東北大学の農学部畜産学科の修士課程修了です。
シジュウカラガンの飼育係などから、係長、課長になり、現在は副園長です。

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