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Vol.30 水禽池の鳥たち

2020.1.29

 寒さも厳しくなり、野生のガン・カモ類の飛来は最盛期をむかえ、宮城県にも多くの渡り鳥がやってきています。前回の記事で、鳥インフルエンザ対策で水禽池全体を防鳥ネットで覆う作業を紹介しましたが、今回はその中に住むガン・カモ類たちについて紹介します。
 水禽池ではオオハクチョウからカルガモまで、ガン・カモ類11種35羽が暮らしており(2020年1月現在)、水鳥たちが池をすいすいと泳いでいる姿や羽繕いをしている様子を間近で観察することができます。水鳥たちは一見すると穏やかに暮らしているように見えますが、その実は、体の大きさや数も様々な11種が同じ池にいることもあり、他の鳥をいじめる個体や、縄張りを強く主張して他を近づけないペア、うまく自分の居場所を作る個体など、様々な鳥模様が見えてきます。飼育員はその1羽ごとに気を配り、日々飼育しています。

例えば、ツクシガモの老齢個体は片目が見えにくくなっているため、オオハクチョウなど大きい鳥にうっかり近づきすぎてしまうことがあります。そうするとハクチョウなどから羽を引っ張られそうになっていますが、その時は老齢とは思えない機敏な潜水やジグザグ泳ぎでかわしています。

 ハクガンの老齢個体は歩くのが遅いですが、他の鳥の接近にいち早く気づいて移動するため、若い元気な個体に攻撃されることは少なく、最高齢の20歳にも関わらず、元気に過ごしています。この個体はプールに入ることがほとんどなく、陸地を移動しながら餌を食べるので、飼育員は食べやすいように陸地の様々な場所に餌を置いてあげています。

 コハクチョウは体が大きく、最近は餌の時間にも餌を食べずにいじめに奔走したり、飼育員に威嚇したりするので、要注意個体として飼育員が目を光らせている個体です。

 マゼランガンのペアは池の真ん中の島を縄張りとして強く主張し、他の個体が上陸しようとすると威嚇して島から追い出します。インドガンやアカツクシガモなど、ペアを組んでいる鳥たちは繁殖期である春が近づいてくるとともに他を威嚇することが増えてくるため、注意が必要です。
 この鳥模様は水鳥たちの熾烈な序列争いで日々変化します。鳥たちの序列は、体の大きさや群れの数、ペアを組んでいるかどうかに加え、それぞれの性格などで大きく影響します。よって飼育員は、全羽が平穏に暮らせるように、その時々によって変わる鳥たちの序列を把握し、全羽が餌を食べられるように、プールや陸地全体に撒いたり、弱い個体がある程度食べるまでそばで護衛をしたり、あまりに攻撃的な個体は個室へ移動させたりなど、様々な工夫をしています。

著者プロフィール

右から
吉井 誠 1996年埼玉県生まれ。好きな動物はトラ。
今村弥生 1995年千葉県生まれ。好きな動物はカヤネズミ。
小川由貴 1989年島根県生まれ。好きな動物は猫と馬。

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