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Vol.1 歳をとると丸くなります

2013.3.25

ミナミゾウアザラシの丸子さんは今でこそ丸い人格のおばぁちゃんアザラシですが、昔は自己主張が強く頑固な性格で、その時代の若い飼育スタッフを何人も泣かせてきました。
ちょっとでもへそを曲げるとテコでも動かない、まさに「どっちが偉いと思ってるのよ!」と丸子が若いスタッフを締めあげることが多々ありました。
でも、いつからだったでしょう。 丸子が飼育記録日本一の頃にはそんなイケイケな丸子はなりをひそめ、「はいはいはいこうやっとけばいいんでしょ。はいエサちょうだい。」と、余計ないざこざは起こさず無益な自己主張の押し合いはなくなりました。

 

 

そして飼育世界一の頃には飼育スタッフも丸子もお互いが成熟し、ゆずりあいの心と言いますか、尊重しあって悟りをひらいたような感じになってます。
丸子だけではなく他の動物たちも(人間も含め)そうですが、齢をかさねるとカドが取れてきて持ちつ持たれつみたいな関係になりますね。

そんな丸子は日本で暮らしているミナミゾウアザラシの最後の1頭になってしまいました。
今まで日本では過去数園館で16頭ほどのミナミゾウアザラシを飼育してきましたが現在は丸子だけが残っています。世界の園館でも確認できるだけでおそらく丸子が最後の1頭だと思います。
・・・と言う事は、もし丸子が居なくなるともう身近でミナミゾウアザラシを見ることはできなくなるということです。 ミナミゾウアザラシの息使いや動きやあの独特の臭いなど目の前で肌で感じたいと思っても丸子がいなくなるともうできません。それが悪いとは言いませんが野生の子たちを遠くから見るしか方法が無くなってしまいます。
誤解を恐れず言いますが、変な話、だいぶご高齢の丸子は老い先長くはないと思います。昨年から今年にかけて丸子が体調を崩した時は当館のホームページで「丸ちゃんに会いたい方はできるだけお早めにお願します」と丸子ファンの方々にお伝えしました。幸いその体調不良は乗り切って今は元気にしてくれていますが、いつ何時何があるか分かりません。

 

 

丸子は24年もの長い間二見シーパラダイスの看板娘として活躍してきたので、ありがたいことにたくさんの丸子ファンの方々がいます。
そんなファンの方々が知らない間に丸子がいなくなっていたら、後でその方々に怒られそうなので「会える時にはできるだけ会いに来てあげて下さい」といつもお話しています。

これからGW前後になると丸子は換毛の時期に入り必ず体調が崩れます。 若い頃は3週間ほどで完了した換毛ですが、おばぁちゃんになってからは2ヶ月間もかかるようになり、これからの季節スタッフや丸子ファンの方々は心配な毎日を送ることになるでしょう。
そんなファンの方々だけではなく、まだ丸子に会ったことがない皆様にも、今のうちに元気な丸子に会って頂きたいと思います。

 

著者プロフィール

田村龍太 (たむら・りゅうた)

1976年生まれ。大阪府出身。
1996年二見シーパラダイス(現 伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス)入社。
現在飼育全般の管理と若いスタッフへのくだまき係をしている。「自分を生かしてくれている世間様のために還元!」と自らを正当化して時々突発的な大きな買い物をする。

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