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Vol.58 アシカの赤ちゃんも誕生しました!

2019.7.30

伊勢シーパラダイスでは今年の3月23日にゴマフアザラシの赤ちゃんが誕生しましたが、6月28日にはカリフォルニアアシカの赤ちゃんも誕生しました。

3/23生まれのゴマフアザラシの赤ちゃん

アシカの赤ちゃんは現在少しずつ順調に体重が増えていますが、前回のゴマフアザラシの赤ちゃんに引き続き、このアシカの赤ちゃんもスタッフが人工保育で育てることになりました。
ゴマフアザラシの赤ちゃんの人工保育の理由は「お母さんからお乳を飲めなかったから」でしたが、今回のアシカの赤ちゃんは「仮死状態で生まれてきたから」です。

6/28 出産途中のアシカの赤ちゃん

逆子で後足から生まれてきた赤ちゃんは、出産開始時から筋肉が弛緩している感じでした。これはひょっとすると死産かな?と思いながら出産の様子を見守っていましたが、出産してもやはり赤ちゃんは動かず息もしていません。
一生懸命に起こそうとするお母さんの呼びかけに無反応な赤ちゃんを見て、スタッフはお母さんから赤ちゃんを取り上げて心臓マッサージと人工呼吸を行いました。

無反応で全く動かない赤ちゃん

このままダメかもしれないという気持ちは常にありましたが5分間ほど心臓マッサージと人工呼吸を続けていると突然心臓が動きだし、そのまま更に続けるとなんと自発呼吸も始まりました。

自発呼吸後の赤ちゃんです

奇跡的に息を吹き返して動けるようになった赤ちゃんでしたがこれからの一番の問題はお母さんからお乳を飲めるかどうかでした。
それなりに歩くようになった赤ちゃんを、お乳をあげる気満々のお母さんの元へ戻しましたが赤ちゃんの方が全くお乳を飲もうとしません。
お母さんは赤ちゃんの顔の前に何度も乳首を持って行き飲むように促しますが、赤ちゃんは疲れているのか?まだボーっとしているのか?12時間たっても飲もうとする意志さえ見せなかったので、お母さんには申し訳なかったですが再度お母さんから赤ちゃんを離して人工保育へ切り替えました。

強制哺乳中のアシカの赤ちゃん

前回のアザラシの仲間は約2週間で離乳しますので比較的早い時期にミルクから魚へ変えることが出来ますが、今回のアシカの仲間は約1年もの長い間お母さんからお乳をもらいますので長期間の強制哺乳が必要となります。

これが1年間も続くのはしんどい・・・

そこでスタッフとしては赤ちゃんの負担も考慮し、赤ちゃんが自ら哺乳瓶を吸ってミルクを飲んでもらえないかと思い、赤ちゃんに哺乳瓶の練習を始めました。そして練習を始めてから3日ほどで哺乳瓶からミルクを飲んでくれるようになりました。

哺乳瓶でミルクを飲む練習中

これでスタッフの負担も赤ちゃんの負担も劇的に改善され、安定してミルクを飲むことができるようになりました。生後約1か月が過ぎた現在は少しずつ体重が増えている状態です。
このまま無事に成長してくれることを願いつつ、今年まさかの2回目の人工保育をしている伊勢シーパラダイスです。

美味しそうにミルクを飲む赤ちゃん

著者プロフィール

田村龍太 (たむら・りゅうた)

1976年生まれ。大阪府出身。
1996年二見シーパラダイス(現 伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス)入社。
現在飼育全般の管理と若いスタッフへのくだまき係をしている。「自分を生かしてくれている世間様のために還元!」と自らを正当化して時々突発的な大きな買い物をする。

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