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Vol.49 伊勢シーパダイス“らしさ”の継承

2018.8.29

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」を、歴代の先輩スタッフから引き継いできた現在の中間管理職世代スタッフが、頭角を現してきた若手のエーススタッフたちに伝えていかなくてはいけません。

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」➀
ミナミゾウアザラシの丸子さんと昔のスタッフ

もう伊勢シーパラダイスの「あの感じ」になっている動物たちをいくら若手スタッフに見せてもあまり勉強にはならず、逆に「伊勢シーパラダイスの動物たちは咬まないもの」と勘違いしてしまいます。

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」②
20年以上前からミナミゾウアザラシの搾乳をしてました

「いやいや違うんです!咬まないように接して来たんです!ロボットじゃないんやからあんたたちが余計なことをしたら咬まれるよ!」 といくら言葉で伝えてもリアリティが無く、若いスタッフたちの動物たちへの距離感が無造作になってしまい、見ているベテランスタッフが「危ない!」とドキドキします。

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」③
スタッフの作業を興味津々で見るセイウチたち

「親しい中にも礼儀あり」の感じで、お互いを尊重し合わないと、若いスタッフが急に一方的に動物たちとの距離感を詰めても危ないだけです。

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」④
20年ほど前からお客さんと勝手にキャッチボールをして遊ぶイルカたち

それが分からず。ある程度「あの感じ」に既になっている動物たちと接っしている若手スタッフは、「もう自分たちは出来ている!」と思って、自分達の実力だと勘違いしてしまいます。

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」⑤
ゴマフアザラシの赤ちゃんの体重測定

違うんです。昔からそうですけど、実は動物たちの方が偉いだけで、若手スタッフが先輩動物たちに踊らされているだけなんです(笑) それで自分たちが出来るものだと勘違いしてしまい、大げさに言うと「ベテラン動物たちの方がトレーナーになって若手スタッフたちをコントロールしている」という事実に気付かないんです。これをいくら説明しても、言葉では理解できますが感覚的な実感として理解してもらうことが出来ないんです。

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」⑥
世界初2006年から始まりましたパイプを使った握手展示

ですので、トレーニングがあまり入っていない「素の動物たち」と接することで初めて「あぁ自分たちは踊らされていた!」と気付くわけでして、そういった機会を与えてくれるのがこれから伊勢シーパラダイスで育っていく動物たちなんです。

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」⑦
世界初2006年から始まりましたパイプを使った握手展示

そんな素の動物として、2016年に伊勢シーパラダイスで生まれたトドのジュニアくんを現在の若手エーススタッフたちに見てもらっています。

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」⑧
勝手にスタッフのカッパに入って寝るコツメカワウソ

現在伊勢シーパラダイスで活躍するセイウチたちやトドやアシカやアザラシたちを育てた中間管理職世代が、これから伊勢シーパラダイスで育っていく動物たちを若手エーススタッフたちと共にトレーニングしています。

これからお父さんの小鉄くんのように育っていくトドの子どもと一緒に接して育っていく若手スタッフたち

今まで、第一線で活躍している動物たちと接してきた若手エーススタッフたちでも、まだ伊勢シーパラダイスっぽくない動物たちと接すると残念ながら、「えぇっ!そんなことも分からずに動物と接して来たんだ!」と驚くことがあり、やはりこういった機会は必要だなと感じます。

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」⑨トドの小鉄くん
日本で(世界で?)ここだけ!オスのトドの柵無しふれあいショー

それと同時に、やはりトレーニングの真の先生は先輩スタッフではなく接している動物たちなんだとつくづく思い知らされます。(先輩スタッフが偉そうに先輩風を吹かせられません)

先輩スタッフと一緒に育った動物たちを引き継ぐ若いスタッフたち

敬意を持って動物たちと接することを続けていかなくては、伊勢シーパラダイスらしい動物たちが育たなくなってしまいます。

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」⑩
セイウチの闘魂注入で厄払い

トレーナーが偉そうに動物たちをトレーニングするのではなく、動物たちとトレーナーが一緒に成長できることを考えなくてはいけませんね。

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」⑪
ゴマフアザラシと自撮り!ちゃんとカメラ目線!

今回はふと思ったことを、皆さんに伝わりやすい様に話を少し大げさにしてつらつらと書かせて頂きました。
スタッフと動物たちが違和感なく普通に接していないと伊勢シーパラダイスらしくないですからね。

伊勢シーパラダイスの動物たちの「あの感じ」⑫
まだ幼い頃のツメナシカワウソのお散歩風景

著者プロフィール

田村龍太 (たむら・りゅうた)

1976年生まれ。大阪府出身。
1996年二見シーパラダイス(現 伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス)入社。
現在飼育全般の管理と若いスタッフへのくだまき係をしている。「自分を生かしてくれている世間様のために還元!」と自らを正当化して時々突発的な大きな買い物をする。

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