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Vol.35 コツメカワウソ 恋の行方

2016.12.26

伊勢シーパラダイスではツメナシカワウソとコツメカワウソの2種類のカワウソを飼育しています。

その中で、2015年にツメナシカワウソの繁殖はありましたが、コツメカワウソの繁殖は2009年に結ちゃんという女の子が1頭育ったきりでその後はありません。

小さい結ちゃんとその父と母

小さい結ちゃんとその父と母

そんな結ちゃんは生まれてすぐに首に傷が(親は首元をくわえて赤ちゃんを運びます。その際に傷がついた様子です)ついてしまい、その傷が治らずひどくなる一方でしたのでスタッフが親代わりとなって人工保育をして育てました。

首に傷がついている結ちゃん

首に傷がついている結ちゃん

伊勢シーパラダイスでコツメカワウソの人工保育をするのはこの時が初めてでした。その当時は右も左も分からない中、いろいろと苦労をして結ちゃんを育てました。

スタッフからミルクをもらう結ちゃん

スタッフからミルクをもらう結ちゃん

スタッフが親代わりとなって育てたおかげなのか?スタッフとは仲良くなった結ちゃんでしたが、お年頃になっても同じコツメカワウソの男の子とは仲良くなれず、なんとか仲良くなってもらえないものかと考えて1年以上かけてお見合いをしていました。

大人に成長した結ちゃん

大人に成長した結ちゃん

お見合い相手の男の子はムコドノというお名前で、結ちゃんの結婚相手にとわざわざドイツの動物園から伊勢シーパラダイスに来てもらいました。

ドイツの動物園から来たムコドノ

ドイツの動物園から来たムコドノ

そんなムコドノと結ちゃんのお見合い方法は、結ちゃんが暮らしていたプールを柵で2つに仕切り、片方に結ちゃん、もう片方にムコドノを入居させて柵越しにお互いが認識できるようにして行いました。

柵の向こう側から結の方へ手を出すムコドノ

柵の向こう側から結の方へ手を出すムコドノ

ムコドノが結ちゃんのお隣にお引越ししてきた時は結が怒って柵越しに威嚇していました。その後、柵越しでのお見合い中、時々柵を開放してこの2人を合わせてきました。ですが合わせる度に結がムコドノに威嚇や攻撃をしてしまい、なかなかうまく仲良くはなれませんでした。

すぐに喧嘩をする結とお腹を見せて服従するムコドノ

すぐに喧嘩をする結とお腹を見せて服従するムコドノ

相性が合わないのか結の性格がそうさせるのか? 2頭を合わせる度に結が一方的にムコドノを攻撃してしまうので、カップルが成立しないのではないかと諦めかけていまいた。
ところが柵越し同居をして約1年が過ぎたつい最近、急に結ちゃんが男の子を威嚇しなくなり、柵を開放して同居させても怒らなくなりました。

寄り添う2頭(向かって左が♂・右が♀)

寄り添う2頭(向かって左が♂・右が♀)

長かったお見合い中、結の性格のややこし部分は育て方が悪かったのか?と、育ての親としてだいぶ反省をしてきました。ですがついに同じ空間で男の子と同居ができるようになり、大きな一歩を踏み出せた感じがしてとても喜んでいます。

結は毎日スタッフが家に連れて帰り、3時間ごとにミルクをあげて排便を促していました

結は毎日スタッフが家に連れて帰り、3時間ごとにミルクをあげて排便を促していました

親としてやっと肩の荷が降りた心境と言いますか・・・まだ交尾までは至りませんけども、とにかく2人仲良く暮らしてもらえるようになって嬉しい限りです。

かわいかった頃(笑)の結ちゃん

かわいかった頃(笑)の結ちゃん

この先、この2人の関係がどうなっていくのかはまだ分かりません。まずは同居ができるようになったことに喜びつつ、早く孫が見たい気分です(笑) これからも期待して様子を見ていきます!

著者プロフィール

田村龍太 (たむら・りゅうた)

1976年生まれ。大阪府出身。
1996年二見シーパラダイス(現 伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス)入社。
現在飼育全般の管理と若いスタッフへのくだまき係をしている。「自分を生かしてくれている世間様のために還元!」と自らを正当化して時々突発的な大きな買い物をする。

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