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Vol.56 ゴマフアザラシの赤ちゃんが生まれました!

2019.4.27

2019年3月23日に伊勢シーパラダイスでゴマフアザラシの赤ちゃんが誕生しました。
お父さんは鳥羽水族館さんから繁殖の為にお借りしている大福くん、お母さんは伊勢シーパラダイス生まれの風和ちゃんです。

元気な男の子の赤ちゃんです

お母さんの風和ちゃんは初産でしたが元気な男の子の赤ちゃんを無事に生んでくれました。
ですがお母さんの風和ちゃんは生まれた赤ちゃんにビックリしてしまい、そこからお乳をあげることが出来なくなってしまいましたのでそこからスタッフが人工保育を行うことになりました。

へその緒の消毒中

初産ということで、スタッフは生まれる前から一応の人工保育の準備はしていましたが、伊勢シーパラダイスで初乳を飲んでいない赤ちゃんの人工保育を行った経験は無く、全てが初めだったのでそれこそ手探り状態のまま何とか1か月間が過ぎました。

壁に流れるミルクは吸います

ゴマフアザラシの赤ちゃんは普通約10.0㎏前後の体重で生まれてきますが、今回生まれた赤ちゃんの体重は約7.5㎏しかありませんでした。

体重測定中

人工保育になった赤ちゃんは、お乳を探して飼育舎の壁やスタッフのカッパなどを吸うので、同じ人工保育を行うにも自らミルクを飲んでくれればスタッフと赤ちゃんの負担は激減します。これはひょっとしたら哺乳瓶から人工ミルクを飲んでくれるかも! と大きな期待を持っていました。しかし期待した哺乳瓶からは全くミルクを飲んでくれず、結果的にお互いがしんどいカテーテルを使った人工保育が始まりました。

カテーテルで人工ミルクを胃に入れてます

人工保育は赤ちゃんもしんどいでしょうけどスタッフもしんどいのでいつも言いますがなるべく避けたいところです。お母さんに母乳をもらって育つのが一番だと思いますが仕方がありません。
目の前に「人工保育」で助かる命があればそうするのが飼育係でして、「そんなに壁を吸うならせめて乳瓶から飲んでよ~!」と文句を言われながら笑顔で捕まえられ保定されそしてカテーテルを入れられて胃に直接ミルクを入れられています(笑)

白い毛が抜けてゴマ模様が出てきました

いつものように人工保育開始当初は日に日に赤ちゃんの体重が落ちて行き、このまま死んでしまうのではないかという恐怖が常に頭をよぎりながら顔は笑顔で毎日を送ります。
目の前の赤ちゃんに どのミルクを どれだけの量を どんな濃度で飲んでもらったらお腹をこわさずに体重の維持と増加が見込めるのか? その子の様子を見ながら手探りでその子の様子を見ていきます。

魚の強制給餌もしています

そしてミルクとの相性が把握でき始めた頃に今度は少しずつ魚の強制給餌も行っていき、それから体重が増え始めました。
体重の減りが止まり、ジワジワと体重が増え始めた頃には赤ちゃんの白い毛も抜け始め、最近はすっかりゴマ模様になってきました。

最近はある程度自力で魚を食べられるようになってきました

今後うまく育つかどうかはまだ分かりませんが、順調に育っています!という報告が出来るように引き続き赤ちゃんと共に人工保育を頑張っていきたいと思います。

著者プロフィール

田村龍太 (たむら・りゅうた)

1976年生まれ。大阪府出身。
1996年二見シーパラダイス(現 伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス)入社。
現在飼育全般の管理と若いスタッフへのくだまき係をしている。「自分を生かしてくれている世間様のために還元!」と自らを正当化して時々突発的な大きな買い物をする。

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