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Vol.39 ツメナシカワウソの赤ちゃんがまたまた誕生しました!

2017.5.26

伊勢シーパラダイスでは、2017年4月10日に当館で5回目となるツメナシカワウソの赤ちゃんが誕生しました。今回誕生したのは2頭の赤ちゃんで両方ともオスの赤ちゃんです。

2017.4.10に生まれた赤ちゃんたち

ツメナシカワウソという種類のカワウソは日本では当館を含め3園館で7頭しか飼育されていない大変貴重な種でしたが、2頭の赤ちゃんが増えてこれで9頭となりました。

生まれたその日に無事授乳ができました

赤ちゃんのお父さんはブブゼラくんお母さんはズリちゃんで、ツメナシカワウソはお母さんのみが子育てをしますので、生まれてからはずっとズリちゃんが赤ちゃんたちを大事に育ててくれていました。

2頭とも美味しそうにお乳をもらっています

赤ちゃんたちは日々順調に成長していきましたが、生後1週間になる頃にいろいろとありまして現在は2頭とも人工保育でスタッフが育てています。

2頭を人工保育で育てることになりました

今回の出産が4回目の出産となるズリお母さん。過去1回目の出産時はオスとメスの赤ちゃんをそれぞれ生み2頭とも順調に育ちました。ですが2回目と3回目の出産時は赤ちゃんの状態が急変してうまく育てることができませんでした。

なかなか体重が増えない赤ちゃん

そして今回4回目の出産。
飼育舎が新しくなり、子育て用の浅いプールも用意して今度こそはとスタッフもズリちゃんも頑張っていた矢先。

以前の失敗を考慮して子育て用に浅いプールを用意していました

2頭いる赤ちゃんのうちの1頭の成長がほぼ止まってしまい、しかも左目が腫れてきました。
左目が炎症しているということは抵抗力が落ちている可能性が高いと考え、また体重がほとんど増えない状況にプラスして皮膚を引っ張ってもすぐに元に戻らないことから脱水症状も疑いましたので、赤ちゃんの命を守る為に仕方なく人工保育に切り替えました。

まだ目が開いていない左目に膿が溜まっている赤ちゃん

そして数日後。ズリちゃんの元で育っていた残り1頭の赤ちゃんも体重の増加が止まり、両方の鼻腔から鼻血が出ていたので泣く泣く人工保育に移行し、結局2頭の赤ちゃんたちをスタッフが育てることになりました。

両方の鼻孔から鼻血が出た赤ちゃん

ただでさえ飼育数が少ないツメナシカワウソ。その子育ての様子を見てもらえる機会はなかなかありません。そんな貴重な子育ての時期をできればお母さんに任して皆さんにその様子を見て頂きたかったです。しかも人工保育はスタッフへの負担が大きくなりますので、出来る限りお母さんに育ててもらいたいのがスタッフの本音でした。ですが目の前の赤ちゃんが弱って行く様子を見ていると人工保育に変更する以外に助けることができないと考え、「ズリちゃん取り上げてごめんなさい!」と謝りながら人工保育に切り替えました。

人工保育に切りかえたのは良いですが、生後間もないツメナシカワウソの赤ちゃんを人工保育でしっかりと育てた経験が無かったので(日本では初めてのこころみです)、非常に緊張するスタッフです。

3時間毎にミルクをあげるので夜はスタッフのお家へ連れて帰ります

まずはミルクを選ばなくていけません。前例が無いのでツメナシカワウソ以外のカワウソの人工保育例をいろいろと参考にし、悩みに悩んだ末最終的には生後0日からあげられる市販の猫用ミルクを選びました。
手軽にいつでも手に入る点と、広く市販されていると言うことは安全性も担保できているのではないかという判断です。

無事にミルクを飲んでくれた赤ちゃん

そしてミルクの選定の次は赤ちゃんたちが気分よく飲んでくれそうな乳首を選ばなくてはいけません。
ツメナシカワウソの乳首は結構大きくて、人間用の乳首(Y型・M型・S型・L型)をはじめ犬猫用の乳首など手に入るあらゆる種類の乳首を集めて試した結果。人間用では大き過ぎ、猫用では小さすぎ、最終的に生後1週間のツメナシカワウソには大型犬用の赤ちゃんの乳首が一番しっくりきました。

写真手前の黄色っぽい乳首が大型犬用の乳首

2頭の赤ちゃんともに、人工保育に切り替えた次の日からミルクを飲んでくれるようになり、その後は順調に体重を増やして無事に育っています。

2頭そろってミルクを飲む様子

目の腫れは獣医さんに診て頂いて膿を出して頂き、鼻血が出ていた子も獣医さんに診て頂いて2頭それぞれに抗生剤の投与で対応し、その後は問題なく育っています。

仮の住まいは保温が効いて軽くて水に強い発砲スチロールです

現在は拍子向けするほど順調に育っていまして、お母さんから取り上げた時は250g~400gほどしかなかった体重が、5月末現在は2000g程にまで成長しました。

生後約1か月の赤ちゃんたち

生後1か月でツートンカラーになってきた赤ちゃんたち。もう少ししましたら目が開いてくる頃となります。
2回目と3回目の失敗を活かして飼育舎を新しくし、子育て用の浅いプールも用意して皆さんに貴重なツメナシカワウソの子育ての様子を随時見て頂こうと考えていました。ですが結果的に人工保育で赤ちゃんたちを育てることになってしまいました。
人工保育はスタッフルームとスタッフのお家で行っていますので、せっかくのかわいい時期を皆さんに見て頂くことがなかなかできません。
赤ちゃんたちの成長の様子は伊勢シーパラダイスホームページ内「飼育係の落書き帳」で時々紹介させて頂いてます(^^)/

著者プロフィール

田村龍太 (たむら・りゅうた)

1976年生まれ。大阪府出身。
1996年二見シーパラダイス(現 伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス)入社。
現在飼育全般の管理と若いスタッフへのくだまき係をしている。「自分を生かしてくれている世間様のために還元!」と自らを正当化して時々突発的な大きな買い物をする。

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