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Vol.2 二見シーパラダイスの素

2013.4.30

ご存知の方も多いかもしれませんが、先日4月9日に二見シーパラダイスの素であるミナミゾウアザラシの丸子が亡くなりました。4月1日から少し体調を崩していましたがその後すぐに回復し、元気そうに復活していた矢先の急な訃報でした。
皆様には長い間応援して頂きまして本当にありがとうございました。

 

 

4月9日14:40に丸子の死亡確認をしましたが、その時現場に居るスタッフは目の前で丸子が動かなくなった事実をすぐに受け入れることができませんでした。
なにか得体のしれないものに押しつぶされていくような感覚で、自分の体の芯を鷲掴みにされて音もなく引きちぎられていく感じでした。その時スタッフはみんな外側だけで自分自身を保っていました。
丸子の死をどこに報告・連絡するのか? 丸子の遺体はどうするのか? 今後の予定はどうするのか? など、この日のことを想定してその時はこうしよう!と頭に入れていたのにいざその時になるとなかなか思い通りには動けません。

 

 

そんな半パニック状態になった現場に何かの縁でしょうか? たまたま、前日に生まれたゴマフアザラシの取材に来て下さっていたCBCTV(中部日本放送)の方が丸子の最後をカメラに収めました。
その方は丸子が二見シーパラダイスに来た24年前にも取材に来て頂いていて、その後もずっと二見シーパラダイスを見守ってテレビで紹介して下さった方の1人でした。
丸子の最後の様子を飼育舎の中から撮影した映像を見た方がいるかもしれませんが、そんな縁で最後まで撮って頂きました。そのつながりですぐにたくさんの報道陣の方が来て下さって、その日のうちにみなさんの知るところとなりました。

 

 

そして重い1日が過ぎて次の日。
あんなに強いショックを受けたにも関わらずおかしなもので1日たつと「丸ちゃんよくがんばったね~ 今までありがとう」と思えるようになりました。
丸子が亡くなってもちろん悲しいですが、でも丸子は大往生でしたので、本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。

丸子が亡くなった当日は、食べ物に執着する彼女らしく11時のエサはおいしそうに食べてお客様にあっかんべ~も披露していました。
ただその後、2時間ほどして呼吸が苦しそうになり、すぐにプールの水を抜いてスタッフが付き添って処置をしましたが、お客様やスタッフが見守る中14:40に息を引き取りました。

 

 

今にして思うと「縁」って不思議なものでして、飼育世界一になる前に学研さんが丸子を実物大で大きく本に載せて下さり、飼育世界一になってからもたくさんの取材を受けた丸子さんは、そのまま2月中旬に「どうぶつのくに」で取材をしていただき、そして20年近く前によくズームイン朝で丸子たちの撮影に関わって下さっていた方が、今度は三重テレビさんの「ええじゃないか」という番組で3月12日の丸子をたくさん撮って下さり。そして丸子をずっと撮って下さっていた方が彼女の最後をしっかりとカメラに収めて下さったのです。

長生きしてくれた丸子の力がいろいろな縁をつないでくれたのだと思いますが、おかげ様で、丸子が亡くなっても最後までにぎやかなまま彼女らしく皆さんにおくってもらうことができました。

その後、丸子が亡くなって二見シーパラダイスはそしてスタッフたちは大丈夫なのか? とお客様によく心配して頂きますが、おかげ様で大丈夫です。
もともと丸子を大きく膨らまして形にしたのが二見シーパラダイスですし、その丸子を受け継いだスタッフと動物たちが丸子を思いつつ日々バタバタと仕事をしていますので、今でも丸子のお腹の中に居るようなものです。
実像的には丸子が見えなくなってしまいましたが、二見シーパラダイスに来て下さった方でも、その丸子の片りんをいろいろなところで感じることができると思います。
「あぁ。ココのこのゆるさや適当さが丸子ね!」 と思ってもらえれば嬉しく思います(笑)

 

 

丸子丸子と言いますが、丸子だけじゃなく、丸子と同じ世代のおじぃちゃんおばぁちゃん動物たちがまだまだ二見シーパラダイスで元気にしていますので、スタッフ共々これからもがんばっていきたいと思います。

長い間本当にありがとうございました。 そしてこれからも丸子っぽい二見シーパラダイスをつないでいきますのでどうぞ宜しくお願い致します。

著者プロフィール

田村龍太 (たむら・りゅうた)

1976年生まれ。大阪府出身。
1996年二見シーパラダイス(現 伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス)入社。
現在飼育全般の管理と若いスタッフへのくだまき係をしている。「自分を生かしてくれている世間様のために還元!」と自らを正当化して時々突発的な大きな買い物をする。

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