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Vol.3 丸子の思い出

2013.7.4

早いもので、ミナミゾウアザラシの丸子が亡くなってもう3か月が過ぎようとしています。
丸子が亡くなって以後、現在でも、そのことをご存じでないお客様から毎日「あっかんべ~のアザラシはどこにいますか?」とかなり質問をされます。
そんな会話を聞くたびに「あ~丸子のことはみんな知ってるんだな。。。さすが!」と思います。なんせ二見シーパラダイスという名前よりも有名ですから、開口一番に「あっかんべ~のアザラシ」と出るのは納得です。でもみなさんは亡くなったことはご存知ない様子で、丸子が元気だったうちにもう少し早く来て下さっていたらなぁ・・・と残念に思います。もうこの先、あんなに間近でミナミゾウアザラシと接する機会は一生ないでしょう。とても貴重な実績を積ませてもらえました。

担当者とあっかんべ~

今回はそんな丸子の思い出話を少し書きたいと思います。
丸子の思い出はたくさんありますが、そんな中でも特に思い出に残っていることがいくつかあります。
その1つには、丸子はものすごく雨女だったということ、もう1つにはお客様の数を見てショーに出るか出ないかを決めていたということです。

とにかく丸子の雨女パワーはものすごかったです。丸子が飼育舎から出て来ると、それはそれはもう笑えるぐらいにピッタリと雨が降ります。
残念ながら証拠写真などは無いのですが、いつもセイウチショー直後に出てくるミナミゾウアザラシの丸子ちゃん。。。曇り空の下、セイウチたちが頑張っている時は雨が降らず、「ミナミゾウアザラシの丸子ちゃんで~す」とアナウンスが入って扉が開いた瞬間にザザザーっと雨が降ります。現場スタッフの間ではもうずいぶんと昔から「丸子の雨女」は定着していました。

そしてもう1つ。
自分の出番の前に行っているセイウチショーを観覧しているお客様の数を確認し、お客様の数が多い日はショーに参加せず、少ない日は前向きに参加する・・・という、ショーに参加するかしないかを自分で自由に選択していました。
おそらく、お客様が多いとあっかんべ~をする回数が増えるからだと思いますが、お客様が多いとなかなかショーステージに出てこず、数が少ないとスィっと出て来て普通にショーに参加します。あんなにおっとりしたアザラシですがその観察眼をあなどってはいけません。結構ちゃっかりしていました。

エサまだかしら・・・

基本あまり動かないミナミゾウアザラシたち。普段からトレーナーの言う事を聞かないトレーナー泣かせな丸子さんでしたが、日曜日や連休の時は絶対にショーに参加してもらいたいトレーナーと、そんなお客様の多い時ほどショーに参加したくない丸子とのギャップが見ていておもしろかったです。

外の様子をうかがう丸子

ここの 丸子VSトレーナー のせめぎ合いは、はたから見るトレーナーにとっては「最終的にどうなるんやろう・・・」と興味津々でした。
結局丸子さんはショーの開始には間に合わず、ショーの終わりがけに、悠々と外へ出てきてエサの魚をもらい、ショーに間に合わなかったトレーナーは渋々エサをあげるはめになるのです。
最終的にわざとショー終わりのタイミングで出て来て、少しでもショーに参加して仕事したみたいな感じでエサにありつく丸子が一枚も二枚も上手でした。
本当に人間味のあるおもしろいアザラシさんでした。
「丸子ちゃん。なんとかショーに間にあいましたね・・・」とか、ナレーションスタッフがいつも言っていましたが、「ショーの開始には間に合ってないからね・・・」と突っ込んだものです。

機嫌よく出てきた丸子

丸子は完全にわざとその終わりがけのタイミングまで動かず、最後にちょろっとステージに顔を出してあたかもやってますみたいな感じであっかんべ~をしてトレーナーからエサを引き出していました。

まわりをうかがう丸子

丸子も丸子なら、それに付き合うトレーナーもトレーナーでした。
でもそんな適度にゆるくて適度に緊張感があったところが長生きの秘訣だったのかもしれませんね。

ふれあい中の丸子

目の肥えたお客様は、「ここの動物たちはみんな個性があって表情がある」と言って下さいますが、丸子の個性が発揮されたのと同じ流れで今に至るのだと思います。

丸子さんは今ごろ天国で何してるでしょうね? 多分鼻水を垂らして寝てますよ。

著者プロフィール

田村龍太 (たむら・りゅうた)

1976年生まれ。大阪府出身。
1996年二見シーパラダイス(現 伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス)入社。
現在飼育全般の管理と若いスタッフへのくだまき係をしている。「自分を生かしてくれている世間様のために還元!」と自らを正当化して時々突発的な大きな買い物をする。

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