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Vol.5 丸子のいたプール

2013.8.31

ミナミゾウアザラシの丸子さんが亡くなって4か月が過ぎました。
二見シーパラダイスは丸子が居なくなっても、その影響力を色濃く残したまま今まで通りごく普通に日常の生活を続けています。

ミナミゾウアザラシ丸子

そんな、大黒柱の丸子が晩年に暮らしていたプールは現在どうなっているのでしょうか?
丸子が亡くなってすぐは2週間ほど遺影を置いて献花台になっていましたけども、

移動中のゴマフアザラシ 小丸ちゃん

その後はゴマフアザラシの赤ちゃんが入って生活していました。

移動中の小丸ちゃん 丸子プールへ

実は丸子が亡くなる前日に生まれたゴマフアザラシの赤ちゃんがこの写真の子です。
この子がまた丸子の様に目が大きくて雰囲気も堂々としていてよく似ているのです。

外を見る丸子

スタッフの間では丸子のバトンを受け継いだかのように思えて、小丸ちゃんという名前になりました。

外を見る小丸

その小丸ちゃんが乳離れした時に上の様に丸子プールへ移し、
去年の6月に生まれたカリフォルニアアシカのむすびちゃんと一緒に入れて

移動中のカリフォルニアアシカ むすびちゃん

丸子プールを幼稚園プールにしました。

小丸ちゃんとむすびちゃん

丸子も、若い子たちが元気に暮らしてくれると嬉しいかと思ったのですが、一緒に入れて3日後にゴマフアザラシの赤ちゃんがエサを食べなくなりました。

とっても元気そうなのにエサを食べず、どうやらアシカのむすびちゃんがいろいろとちょっかいをかけてくるので嫌になったみたいです。
仕方なく小丸ちゃんに代わってお兄ちゃんの蹴太くんを丸子プールに移してむすびちゃんと一緒にしてみましたが、

むすびちゃんと 蹴太くん

結果は同じで3日後に食べなくなりました(汗)

丸子プールを若い子たちの力で賑やかにしたかったのになかなかうまくいきません。。。
どうやらアシカのむすびちゃんと2人っきりになると3日後に病んでくるみたいです(汗)
そこで、それでは3人ではどうだ? と思い、蹴太君のそのまたお兄ちゃんのサン太くんを交えてゴマ兄弟とアシカのむすびちゃんの3人で生活させてみると良い結果になりました。

左から 蹴太 むすび サン太

3人ともそれぞれが毎日ちゃんとおいしくエサを食べ、みんなで影響しないながら適度に動いています。

丸子が残してくれたものに、良い意味での適当さがあります。
適当さと書くと語弊があるかもしれませんが、動物たちもスタッフもお互いが感情のある生き物なので何事もキッチリとできるわけではありません。
その辺りのお互いを見る幅に適当なゆるさがあって、あまり角を立てずに慣れあった仲になれるのです。

これを書くと反対意見が多く出るかもしれませんが、二見シーパラダイスでは自然に近い環境の展示方法よりも、スタッフがいかに動物たちに受け入れてもらえるかが重要な要素となっています。 いかにして動物たちと心を通わせて密に関わるのかが大事で、スタッフが飼育係をやり、親代わりになり、友達の代わりになり、お手伝いさん役もして、スタッフ自身がその子たちの生活に関わるようにしています。

丸子とスタッフが仲良くなれた様に、ゴマフアザラシとアシカも、スタッフが入りながら
お互いが良い刺激に成り得ないだろうか? という考えもあって丸子プールで一緒に生活させています。

小丸とむすびの仲を取り持とうとするスタッフ

丸子が居なくなったプールで、現在の「若い動物たちとスタッフ」が往年の「丸子とスタッフ」の様に適度に刺激し合いつつ丸子が残してくれた「ふれあい」を受け継いでいければと思います。

著者プロフィール

田村龍太 (たむら・りゅうた)

1976年生まれ。大阪府出身。
1996年二見シーパラダイス(現 伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス)入社。
現在飼育全般の管理と若いスタッフへのくだまき係をしている。「自分を生かしてくれている世間様のために還元!」と自らを正当化して時々突発的な大きな買い物をする。

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