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Vol.8 明るい刺激として感じてもらう為に

2013.12.3

ミナミゾウアザラシの丸子さんが亡くなって8か月・・・
今は二見シーパラダイスの入場券売り場前に丸子の遺影を飾っています。

二見シーパラダイス入場券売場前

ここに遺影を飾っているのは、まだ丸子の死を知らずに入館されるお客様が多いことと、この写真によってお客様と丸子について会話ができるからなのです。

丸子の遺影

この丸子の写真を見て 「この子どこにいるの? この子に会いにきました!」 というお客様がたいへん多いので、この写真を通して丸子が亡くなったことについてお客様とお話ができます。
今でも毎日かなりのお客様から 「この子に会いにきました!」 と言ってもらえるのはとてもありがたいことです。

亡くなる1か月前の体重測定

そんなお客様に、丸子の世界長寿記録の24年と3か月を説明し大往生でしたと伝えると、また会いに来たのに亡くなったのは残念だけど長生きできて良かったね~ と言ってもらえます。

おいしそうにお魚をもらう丸子

さて、お客様の記憶にはどのような形で丸子が残っているのでしょうか?

私個人的な丸子の記憶は、記憶的なメモリーよりも感覚的なものの方がより一瞬で蘇ってきます。丸子のミナミゾウアザラシ独特の臭いとか、プシューっという呼吸音とか、体に当たった時の反発する感触とかがしっかりと残っていますし、もちろんちょっとしたエピソードや日常的なことも記憶として残っています。
臭いとか感覚的なものはだいぶ記憶に残るみたいで、ふとしたきっかけで思い出すと丸子がいた頃に瞬時に戻ります。

毎日の体温測定

今後二見シーパラダイスはおそらくこの丸子という存在をずっと背負って継続していくことと思いますが、いつも書いている通り、丸子がいなくなっても丸子イズムはずっと継承されています。
この丸子イズムが無くなったら当館は二見シーパラダイスらしさを失っていくことでしょう。

前回はそんな丸子イズムをばっちり継承してくれているゴマフアザアシのワインちゃんを紹介しました。
そのワインちゃんの子である小丸ちゃんも紹介してきまして、その小丸ちゃんは現在体重45kgまで大きくなりました。母子ともに丸子イズムを継承しているゴマフアザラシ。

体重測定に向かう小丸ちゃん

小丸ちゃんは今でもスタッフに抱えられて体重計まで移動して体重を量り、また、飼育プールから外に出てお散歩させてもらったりしています。
そして大事なことは、この行動を小丸本人が嫌がっていないということです。

こういった遊び心を明るい意味での刺激ととってもらえたなら、こちらとしてはとてもありがたいことです。

広場をウロウロする小丸ちゃん

小丸側からもスタッフ側からも遊び心のまま結構好き放題にしています。これができるかできないかが当館にとって一番大事な部分で、嫌なことだと思われるのと良い刺激だったととってもらえるのとでは全然違います。

興味の向くままにいろいろと探索する小丸ちゃん

二見シーパラダイスでたくさん刺激を受けて明るく暮らしていくにはやはり人との関わりが大事になってきますので、お互いが楽しく暮らしていく為にはスタッフとの繋がりが必要です。

スタッフに抱っこしてもらってプールに帰る小丸ちゃん

ですので、このような雰囲気を残してくれた丸子と昔のスタッフに大変感謝をしているのです。

次回は同じく丸子イズムを継承しているトドの小鉄くんを紹介したいと思います。

著者プロフィール

田村龍太 (たむら・りゅうた)

1976年生まれ。大阪府出身。
1996年二見シーパラダイス(現 伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス)入社。
現在飼育全般の管理と若いスタッフへのくだまき係をしている。「自分を生かしてくれている世間様のために還元!」と自らを正当化して時々突発的な大きな買い物をする。

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