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Vol.12 お母さんアザラシの軌跡

2014.5.27

先日、ゴマフアザラシのワインちゃんが亡くなりました。
ワインちゃんは1998年に二見シーパラダイスで生まれたメスのアザラシで、今まで7頭の子供を残してくれたゴッドマザーです。
子供たちはそれぞれ サン太くん・笑太くん・風和ちゃん・桜太くん・蹴太くん・小丸ちゃん・そして今年生まれた赤ちゃんで、昨年、ミナミゾウアザラシの丸子が亡くなる前日に生まれた小丸ちゃんのお母さんアザラシです。

出産3日前のワインお母さん

そんなお母さんアザラシのワインちゃんは16歳という若さで4月20日に亡くなりました。亡くなった時は産後1週間でまだ離乳していない赤ちゃんを残したままでした。
普通、ゴマフアザラシは産後2~3週間はお母さんから母乳をもらって成長します。でもワインちゃんが亡くなったのは産後1週間。

出産直後のワインちゃんと赤ちゃん

ですのでまだお乳をあげ足りていませんし、しんどい中なんとかお乳を飲まそうと体勢をとりますが体調が悪くてほとんどお乳も出ませんでした。
さぞ未練を残しまま天国へ旅立ったことでしょう。後で分かったことですがワインちゃんの死亡原因は急性妊娠性脂肪肝、もしくはヘルプ症候群の疑いが強く、もしそうであればよくぞ赤ちゃんを生きたまま産んでくれたなと感謝します。人間ではその病気が発覚した時点で緊急帝王切開をして赤ちゃんを取り出さないと母子ともに危険な病気です。
そんな中無事に出産し、少なくとも3日間はお乳をあげてくれたワインお母さん。

産後3日目 授乳中

産後4日目からお乳が出なくなり、そのまま数日後に息をひきとりました。

そんな息をひきとったお母さんの出るはずのないお乳を一生懸命に飲んでいる赤ちゃんを見て、当たり前かもしれませんがこの子は生きる気持ちが強いと改めて感動し、なんとか赤ちゃんを助けなくてはと思いました。

残された赤ちゃん

残された赤ちゃんとスタッフ。ワインが必至の思いで産んだ大事な形見ですのでしっかり育てないとワインに会わせる顔がありません。

すぐにうみたまごさんと八景島さんに電話をし、アザラシの人工保育方法を教えてもらって苦労の末なんとか対応ができました。

強制給餌中

過ぎてみると赤ちゃんの人工保育は結果的になんとか良い方向へ進めただけで、どこで道を逸れてもおかしくない状況でした。

もう自分で魚を食べられます

そして赤ちゃんが生まれてひと月が経ち、今は立派なゴマ模様になって自力で魚を食べられるようになりました。

お母さんのワインちゃんは小顔で目の大きなべっぴんアザラシさんで、もちろん丸子お得意のあっかんべ~も得意でした。

お母さんのワインちゃん(まぶしい・・・)

ワインちゃん。天国から丸子と共に赤ちゃんのたくましい成長を見とどけてくれたでしょうか? 赤ちゃんもスタッフも頑張りましたよ。

著者プロフィール

田村龍太 (たむら・りゅうた)

1976年生まれ。大阪府出身。
1996年二見シーパラダイス(現 伊勢夫婦岩ふれあい水族館シーパラダイス)入社。
現在飼育全般の管理と若いスタッフへのくだまき係をしている。「自分を生かしてくれている世間様のために還元!」と自らを正当化して時々突発的な大きな買い物をする。

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