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どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.3 「最高のプレゼント」

2012.12.21

初めて迎える異国での冬…。
動物園内の木々は葉を落とし、すっかり冬の装いとなってきました。
2012年4月23日、オスのシンとともにわんぱーくこうちアニマルランドにやってきたリョク。新緑が美しい季節だったことから私が「新緑・シン♂・リョク♀」と名づけました。ただ、わんぱーくに来園して以来、一日のほとんどを寝て過ごしているのです。
この日も久しぶりに日光浴のため、何とか外に出ましたが…。

ご覧のとおり、リョクは目ヤニつきの寝ぼけた表情…。鳴子も背中の上で大あくびと、のんびりロハスなライフスタイルを貫く親子です♪
じつはコアリクイって生き物、あくびをする時、長~い舌をビヨヨヨヨ~ンと出すのです。みなさんご存知でしたか!? コアリクイを担当して気づいたかわいい仕草ですが、今度私もやってみようと思います♪(笑) ちなみに成獣のコアリクイの舌は40㎝ほどもあり、ネバネバした舌でシロアリなどを絡めとって食べています。
それにしてもリョクさん、あなたはいつまで母国・ガイアナリズムで過ごすつもりなの?南米ガイアナ共和国との時差は、なんと13時間!! まさに昼夜逆転、日本での生活。眠たい気持ちはすごく分かるけど…、季節は冬となり、日本に来てからもう8ヶ月以上も経ちましたよ。そろそろ土佐リズムでいこうぜよリョク! よっちょれ♪

搬入当日(2012年4月23日) 輸送箱内のリョク・♀

初めてリョクに会った時、とても驚いたことがありました!
それは開けてびっくり輸送箱…うわぁ!! 白い煙ならぬ白い涙のおばあさんがいたのですから…。
  あなたは誰?ここは一体どこなの!?
私たちも知らなかったコアリクイの生態のひとつ!? (リョクだけかもしれません)
  じつは、興奮したりストレスを感じると、白い木工用ボンドみたいな目ヤニや鼻水をポタポタと出すのです。初めて見た時は、ホントびっくりしました!
来園した時から元気いっぱいなオス・シンに比べて、メス・リョクは何かの病気か輸送のストレスで、とても悪い状態なんじゃないかと心配したことでした。
   最近では、やっと私たち担当者や環境に慣れてきたのか、白い涙を見る機会は少なくなりましたが、コアリクイって、まさに珍獣とよばれるにふさわしい摩訶不思議な生き物です。

また、コアリクイですが、怒ると立ち上がり両手のするどいツメを見せつける不思議な威嚇ポーズをとります。そうです!「コアリクイダンス」。ご覧のとおり威嚇ポーズというより、ふりふりダンスをしているように見えてしまうのは私だけでしょうか♪
あっ!このリョク、動物園から脱走しているわけではありませんよ。
本誌「どうぶつのくに」T井さん取材時、撮影協力のため少しだけ外に出した時の様子です。私もこっそり撮っちゃいました。みなさん驚いたでしょう!(笑)

驚いたと言えば、やっぱり四六時中寝てばかりいたリョクのまさかの出産でした。
来園から3ヶ月が過ぎ、そろそろオス・シンとお見合いできるかなと思っていた矢先!! 赤ちゃん・鳴子の誕生でした。私たち担当者は本当にびっくりしました!

巣箱内のリョクと生後4日目の鳴子

よくよく考えてみると、確かにその頃のリョクの行動には、いくつかのの変化がありました。非公開飼育施設の窓辺でいつも寝ていたのに、出産する1週間位前からは、巣箱に入ったまま寝ている事が多くなっていたのです。元気なく見えたのは妊娠中で、ナーバスになっていたのでしょうか…。まさに「巣箱から鳴子」ならぬ「目からウロコ」。全然気付かなかったなぁ…(笑)

もちろん、オス・シンとの赤ちゃんではなく(シンとは、一度も顔合わせすらしていません)、母国ガイアナで妊娠していたなんて…聞いてないよー!ラッキー♪ハッピー♪よっちょれ♪
  ちなみに動物園水族館の業界用語では、「持ち込み腹」と言います。
「できちゃった婚」風にいえば、「連れてきちゃった婚」…いや、まだシンとは連れ添っていないので、ただ単に「連れてきっちゃった」ことになるのかな!

ただ間違いなく、今年最高のプレゼントになりました。これからの季節、日々寒くなってきますが、私たち飼育係の気持ちと飼育部屋はいつもぽっかぽっか♪
ありがとう、リョク。そして鳴子。来年はシンとも一緒に仲良くしようね♪

著者プロフィール

吉川貴臣(よしかわ・たかおみ)

1974年高知県高知市生まれ
物心がついたころから高知の豊かな大自然のなかで遊び、さまざまな生き物たちと出会い、好奇心旺盛な幼少期を過ごす。犬好き。
高知県立高知小津高等学校・理数科卒業 ボクシング部 
高3の夏、愛犬の突然死をきっかけに獣医師の道を目指す(ドラマ等では、間違いなく獣医師になれます)が、時すでに遅し…パンチドランカーのため、専門学校へ。
日本動物植物専門学院・東京校アニマルケアー科卒業。
1999年より、わんぱーくこうちアニマルランドに勤務。長年の夢だった飼育係となる。

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