日本全国の動物園と水族館をつなぐ情報誌、「どうぶつのくに」「どうぶつえんとすいぞくかん」公式Webサイト

どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.14 マナのひとり暮らし

2013.5.19

母親マリンとの同居後、マナは餌を食べるスピードが早くなり、体重も増えました。
私たちがプールの中に入っても喜んで寄ってくることはなくなり、日中はマリンと追いかけっこをしたりと、充実した生活を送っていましたが、その生活は約1ケ月で終わり、今はまた、展示プールの狭いエリアでひとり暮らしをしています。
それはなぜかと言うと、マリンとリロの繁殖のためです。

マリン

リロ

現在、日本国内の動物園水族館で飼育しているラッコは年々頭数が減少しています。国際的に見ても、1989年にアラスカのプリンスウィリアム湾で起きた、タンカー船「エクソン・バルディーズ号」の座礁事故では大量の原油が流出し、約6000頭のラッコが死亡したと言われています。また、上質な毛皮をもつため、乱獲により20世紀初頭には生息数が絶滅寸前にまで減少し、1911年に国際的な保護条約の対象となりました。
2012年12月末現在、国内での飼育数は13園館で27頭と少なく、高齢化も進んでいます。今はもう、『水族館に行けばラッコに会える』と言うわけではなくなってしまいました。

時々、『マナちゃんのおとうさんはどこにいるんですか?』という質問をうけることがあります。マナの父親『ナダ』は2012年1月に和歌山県のアドベンチャーワールドに引っ越ししました。そして、ナダと入れ替わりで『リロ』がマリンワールドにやってきました。この引っ越しは、繁殖のために飼育動物を貸し出すブリーディングローンという制度で、数が少なくなった動物を計画的に繁殖させるのに役立ちます。

ナダ

ただ、動物同士にもヒトと同じく相性があり、オスとメスだからと言って必ず交尾をするとは限りません。23キロと小柄だったナダに比べて、リロの体重は30キロ!
一回り大きなリロに抱きつかれたらマリンが負けてしまうんじゃないかと心配でしたが、2頭はすぐに意気投合し、合わせたその日の内に交尾が確認されました。その後もケンカすることもなく、仲良く過ごし、昨年10月には赤ちゃんが生まれました。マナが生まれた時と同じように大事に守るつもりでしたが、残念ながら生後20日で亡くなりました。

2012.10生まれ赤ちゃん

マリンの年齢は13歳。ラッコの中でも高齢の域に入りつつあります。今後、出産のリスクもだんだん高くなるでしょう。でも、新しいこのカップルに1頭でも多くの赤ちゃんが出来ることを期待せずにはいられません。マリンの妊娠が確定するまで、マナにはひとり暮らしをしてもらうことになります。

著者プロフィール

土井 翠(土井 みどり)

佐賀県出身。1997年4月 マリンワールド海の中道に入社。
同年7月に展示部海洋動物課に配属後、アシカ・アザラシ・ラッコの飼育業務やショー運営を行い、現在に至る。
動物たちは我が子のようでもあり、友達でもあり、一緒に仕事をする大事な仲間。

カテゴリー

カテゴリー一覧

このカテゴリーの他の記事

ページTOPへ

Copyrights © 2010 Doubutu-no-kuni All Rights Reserved.
誌面、Webにおけるあらゆるコンテンツの無断複写・転載を禁じます。