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Vol.95 ひとり暮らしします!

2020.12.1

今年のカレンダーも残り1枚となりましたね。今年はコロナウィルスの影響で、外出が出来ない期間もありましたので、いつもより一年が短かったような気がします。

さて、久しぶりの投稿なのに、今回はちょっとだけさびしいお知らせです。
マリンワールドのHPでもご案内していますが、11月30日から1月4日までの約1か月間はマナの展示を中止させていただきます。
リロは今まで通り展示プール、マナは裏にある繁殖プールでそれぞれひとり暮らしをします。
そのため、この期間お客さまにはマナの姿をご覧いただけなくなります。

ひとり暮らしする!

リロ1頭だとラッコプールが広く見えて、ちょっとさびしいのですが、この隔離飼育は以前からお話をしている繁殖へ向けての取り組みのうちのひとつです。

このほかに、現在行っている取り組みとしては季節変動をつけるための照明時間の調整などがあります。
こちらはこれまでの研究結果から、他施設では照明の点灯時間と消灯時間の差をつけることで周期的にホルモンの上昇が見られることが分かっています。そのため、マリンワールドでも照明の点灯時間を季節変動させ、夜間に観覧面のガラスにカーテンを設置することで照明の点灯時間(長日)と消灯時間(短日)に明らかな差をつけ飼育環境下でも日照時間(日長)の変化を感じられるようにしています。
ところで、日本には四季があります。我われ日本人は食卓に旬の食材を取りいれたり、お花見や花火大会など季節による行事ごとを楽しむなど、古くから季節の変化を愛でて生活をしてきました。ですが、人間以外の多くの生きものにとって季節の環境変動は生命の危機に関わるかもしれない出来事です。
生きものは日長に反応して冬眠や換羽、渡りなど自然環境の季節変動に対応して生きています。
また、日長の季節変動は多くの季節性の繁殖動物において繁殖のリズムを作りだす重要な役割を果たしているそうです。
では、どうやってその季節変動を感じているんでしょうか?

わかる?

春分、夏至、秋分、冬至は毎年同じ時期に訪れ、気温や降水量などに比べるとばらつきが少ない情報なので、多くの生きものが季節の指標としているそうですが、そのメカニズムはまだ分からないことが多いようです。
マナの場合はこれまでの研究結果で、短日条件下でのホルモンの上昇が見られていましたが、上昇幅が乱れることもあるため、今後はそのタイミングの上昇の改善を目指す必要があります。
ホルモン値は糞便の中の成分を使って測定していますので、隔離している間も糞便採取は必須です。
今回の隔離飼育はホルモン上昇のタイミングに合わせて、ラッコたちを同居させて交尾を促すことで繁殖につなげたいというのが狙いです。

長く一緒に生活をしていたので、離れてしまうとお互いに落ち着かなくなるかもしれませんが、せっかくの単体飼育なので、それぞれと飼育員との関係性がさらに深まることを願います。
そのうえで有効なトレーニングが出来るよう、折を見て担当と話が出来ればいいなと思っています。

ちょっとだけお別れです

皆さんにはマナの様子をご覧いただけなくなってしまいますが、わたしは今までより会いに行きやすくなります♡なので、その様子を少しでも多くお伝え出来るようにがんばります。

著者プロフィール

土井 翠(土井 みどり)

佐賀県出身。1997年4月 マリンワールド海の中道に入社。
同年7月に展示部海洋動物課に配属後、アシカ・アザラシ・ラッコの飼育業務やショー運営を行い、現在に至る。
動物たちは我が子のようでもあり、友達でもあり、一緒に仕事をする大事な仲間。

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