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Vol.103 リロの誕生日に

2023.4.19

つい先日、新年度を迎えたと思っていましたが、早いもので4月も半分が過ぎてしまいました。
毎年マリンワールドの最寄り駅、海の中道駅前の桜が綺麗に咲くことを楽しみにしているのですが、なかなかタイミングが合わず写真に収めることが出来なかったことが残念です。

皆さんはお花見をされましたか?
古代の桜は御神木として大事にされ、開花はその年の作柄を教えてくれるものとして、人々は豊作を占うために花見をしてきたと言われています。
わたしもそうですが、日本人って桜がとても好きですよね。

さて、3月30日にラッコのリロが16歳の誕生日を迎えました。
ラッコは国内での飼育頭数減少により、年々注目度がぐんぐん高まっています。誕生日当日にもとても多くのお客さまがお祝いにお越しくださいました。
食事タイムのあとに、大好物をたっぷり盛り込んだ豪華鉢盛りと16粒のホタテを入れたケーキで皆さんと一緒にお祝いをしました。

また、当日の特別企画として、羊毛フェルト作家・平野友夏里さんを講師にお招きして『ころころラッコマスコットワークショップ』を開催しました。
皆さん個性たっぷりのかわいいラッコが出来ていましたよ。

わたしは、ワークショップの前にラッコの毛についてのお話をさせていただきました。
最近では学校団体の子どもたちを対象に、バックヤードツアーで水槽の裏側の仕組みや外洋大水槽の魚について解説を行う機会は増えましたが、ラッコについてお話するのはとても久しぶりで、純粋にとても嬉しかったです。

リロは、16歳になりました。
鳥羽水族館のキラちゃんがもうすぐ15歳、メイちゃんが来月19歳の誕生日を迎えます。
今、国内の水族館にいるラッコはこの3頭のみ。
ラッコの寿命は20年前後と言われていますが、須磨水族園の明日花ちゃん(23歳)やラッキーくん(22歳)のように20年以上長生きした個体もいます。

近年、家庭で飼育される犬や猫などのペットも栄養状態の向上・安定により寿命が延びていると言われています。
ヒトの寿命も延び、日本は世界でも有数の長寿国家と言われています。

ラッコたちに長生きをしてほしい。
そのために、わたしたちはこれから先も彼らが出来るだけ健やかに過ごすために出来ることを考え、行動に移す必要があります。

一方で、野生生物の中には環境の変化により、生き場を失いかけているものもいます。
ヒトは便利な道具を作りだし、住みやすい環境を整えることが出来ますが、ヒト以外の生きもの達にはそれが出来ません。
この地球では、さまざまな生きものが複雑に関わって暮らしています。
この地球で、さまざまな生きものたちとずっと一緒に暮らしていくために、今
わたしたちには出来ることがあるはずです。

リロの誕生日に、というわけではないのですが、
これから、そういうことを皆さんと一緒に考えて、取り組んでいけたらいいな、と思っています。

著者プロフィール

土井 翠(土井 みどり)

佐賀県出身。1997年4月 マリンワールド海の中道に入社。
同年7月に展示部海洋動物課に配属後、アシカ・アザラシ・ラッコの飼育業務やショー運営を行い、現在に至る。
動物たちは我が子のようでもあり、友達でもあり、一緒に仕事をする大事な仲間。

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