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Vol.83 訓練を再開します!

2019.10.2

日中はまだ、真夏のように暑い日もありますが、朝晩はひんやりと心地よい風が吹くようになってきました。
台風が過ぎたあとの美しい秋晴れを見ると、季節の移ろいを感じますが、先日の台風15号は残した爪あとがあまりに大きく、連日の報道を見ると切なくなってしまします。
一日も早い復興をお祈りしております。

お祈りしてます

さて、9月も下旬にさしかかり、ずい分と秋めいてきましたが、マリンワールドでは今月末までの土日祝日は『夜のすいぞくかん』を行います。夜の水族館ではラッコたちもパフォーマンスをするので、夏まえから取り組んでいた訓練は一旦休止しています。でも、夜のすいぞくかんが終わったら訓練を再開する予定なので、先日それに向けてのミーティングを行いました。
まずは訓練の再開時期や休止する前の訓練を振り返り、反省や改善点を出し合い、訓練の回数や時間帯なども話し合いました。また、訓練の最終目標を再確認し、ある程度の期間を決めて集中的に訓練を行うことに決めました。
どうぶつたちに何かを教えるときには最終目標を決め、全員がそれに近い行動を強化するという共通の認識を持つことが大事です。何にしてもそうですが、感覚や考えはそれぞれに違うのが当たり前です。それをどう近づけるか、折り合いをつけるかは情報の共有がとても大事だと思います。
わたしは普段の飼育に携わることはできなくなりましたが、ちょっと離れたところから見てみると、今まで感じなかったことを感じたり、思いつかなかった考えが浮かんだりするようになりました。でも、どうぶつに関わっていたこともあるので、飼育員の言い分も分かります。本当はいつもそばで、あぁでもない、こうでもないと言いながら訓練に取り組むことが出来ればいいのですが、今のわたしには、今の部署での仕事がありますのでそういうわけにもいきません。
ですが、どうにかもう少しラッコたちの訓練に直接的に関わりたいというわたしのわがままな思いを、両方の部署が快く(?)受け入れてくれて、業務に差しさわりのない範囲で給餌に入らせてもらうことになりました。

え?!

今までも開館時間前に写真を撮りに行ったりはしていたんですが、その場合はどうぶつにはもちろん、餌にさわることもありませんでした。ですが、今回は給餌をするということなので、ちゃんと長靴や作業用のカッパを準備しました。20年親しんだスタイルですが、カッパを着ることはもう二度とないと思って異動したので何だかとても懐かしく感じました。
ラッコたちは匂いに敏感です。
カッパが古くなり、新品に交換したときはクンクンと念入りに匂いを嗅いでいたことを思い出します。
動物課に所属していたときは、どうぶつたちに不信感を与えたくないので作業服や自分自身に柔軟剤やハンドクリームなどの人工的な匂いが残らないように気を付けていました。また、仕事終わりに念入りに手を洗っても、生臭い匂いが染みついているようで、子どもから「お母さんお魚の匂いがするー」と言われていました。その頃は自分ではあまり気にならなかったのですが、今は動物課のメンバーに会うとやっぱり「魚の匂いがするー」と思います。

匂いには敏感よ~

わたし自身は、本来良い匂いが大好きで、自宅では芳香剤やアロマオイルを楽しんでいます。もう、魚の匂いがすることはなくなったけど、マナはどんな反応をするんだろう。匂いを嗅いで、よじ登ってくるんかな。怒りだしたらどうしよう。いや、不審がってそもそも近づいて来ないかもしれんなぁ。
そんなことを考えながら、「マーナーちゃーん」以前と同じように声をかけながら、ラッコプールに入りました。
陸上の定位置に座って餌を差し出すと、スーッと近づいてきました。餌に手を伸ばしながら目があった瞬間、「ん?」とちょっと不思議そうな表情を見せながらも餌を受け取りました。
が、手にした餌を口に運んだとき、「やっぱなんかちがう!」と、餌をくわえたまま戻ってきてクンクンと匂いを嗅ぎ始めました。でも、ちょっと匂いを嗅いだら納得したようで餌を食べ始めました。
あれ?思ってた反応とちがう・・・。
その後も、もしかしたらいつも誰から餌をもらってるか分かってないんじゃないかと思うくらい、何の迷いもなく餌を受け取るので拍子抜けしてしまいました。

イカ♡

訓練となると、また態度が変わってしまうのかもしれませんが、前向きに進むよう少しでも加勢出来ればいいな、と思っています。

著者プロフィール

土井 翠(土井 みどり)

佐賀県出身。1997年4月 マリンワールド海の中道に入社。
同年7月に展示部海洋動物課に配属後、アシカ・アザラシ・ラッコの飼育業務やショー運営を行い、現在に至る。
動物たちは我が子のようでもあり、友達でもあり、一緒に仕事をする大事な仲間。

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