日本全国の動物園と水族館をつなぐ情報誌、「どうぶつのくに」「どうぶつえんとすいぞくかん」公式Webサイト

どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.57 どうぶつ達から習うこと

2017.7.15

福岡では梅雨明け前の不安定な天気が続いています。連日、九州北部の記録的な豪雨の被害が報じられていますが、朝倉はわたしも何度が訪れたことのある場所です。これ以上、被害が大きくならないことと1日も早い復興を願ってやみません。

きれいな紫陽花を見つけました

わたしの手より大きい!

さて、マリンワールドでは7/7(金)、8(土)、9(日)の3日間にラッコたちに七夕の特製氷をプレゼントしました。

七夕仕様の氷

これまで、七夕だけではなく、お正月やバレンタインデー、ホワイトデー、誕生日やクリスマスなど、色んなイベントの度に特製氷をプレゼントしてきました。

今回の七夕、本当は当日のみの予定にしていましたが、平日だから見に行けないと言う声があがったり、4月のグランドオープン以降たくさんのお客さまにお越しいただいていますので、感謝の気持ちを込めて、日にちを増やしてみたんですが、どうも、わたしの思惑通りにはいきませんでした。

デザインも少しずつ違います

と、言うのも、5月のGW明けからマナが初めての発情を迎え、最近やっと落ち着きを取り戻しつつあるところだったのに、今回のイベントがマナちゃんスイッチを軽く押してしまうことになったんです。
イベントでは、2頭同時に渡すと、リロがマナの氷を取ってしまうことが予想されたので、先にリロに渡してから次にマナに渡す予定でいました。ところが、リロに氷を渡そうとした瞬間、「ダメダメ!あぶなーい!」という感じで、マナが背後にがっしりしがみついたものですから、氷を取られると思ったリロがマナに咬みつき、激しいもみ合いになってしまいました。

リロにしがみつくマナ

マナがなかなか離れないので、怒ったリロが怖い顔で威嚇する様子を見ながら、「ケンカせんで~!マナちゃんの分もあるよ~。久しぶりのイベントでちょっとびっくりしたんですかね~」とにこやかに実況中継をしながら、内心は(ヤバイ・・。大ごとにならんうちに終わらせないかん。)と、ドキドキしていました。

リロはうれしそうです

リロにひどく怒られたマナは、途中からわたしの膝の上に乗ったまま「ウ~」と小さなうなり声を上げて、ひどく不満そうな様子で。最後は氷をガブリと噛んで、わたしから離れていきました。こんなにイラついたマナを見るのは初めてでした。

わたしのひざに乗ったマナちゃん

さらに、残りの2日間は2頭とも、氷にあまり興味を示さなかったようで、ちょっとさびしい感じになったそうです。

マナにとっての初めての発情。これは、どうしてこんなに落ち着かないのか、どうしてこんな気持ちになるのか、自分でもコントロールすることが出来なくて、本人が一番状況を飲み込めずに戸惑っていたはずです。少しずつ落ち着いてきたとは言え、その状態をもっと慎重に見極めるべきだったことと、ただでさえ、飽きっぽい性格なのに3日間も続けてやろうと思ったことを、後になってとても悔やみました。

どうぶつ達は、わたしにいろいろなことを教えてくれます。特に、接し方や距離のとり方はどうぶつ達から習うものであることを、わたしはすっかり忘れていました。
最近は何かある度にマナが当たり前のラッコに、立派に成長したことを痛感します。
今回のことで、わたしはマナに対して、もっとちゃんと、ラッコとして接していかなければいけないと感じました。

田井さんに撮影していただいた1枚

著者プロフィール

土井 翠(土井 みどり)

佐賀県出身。1997年4月 マリンワールド海の中道に入社。
同年7月に展示部海洋動物課に配属後、アシカ・アザラシ・ラッコの飼育業務やショー運営を行い、現在に至る。
動物たちは我が子のようでもあり、友達でもあり、一緒に仕事をする大事な仲間。

カテゴリー

カテゴリー一覧

このカテゴリーの他の記事

ページTOPへ

Copyrights © 2010 Doubutu-no-kuni All Rights Reserved.
誌面、Webにおけるあらゆるコンテンツの無断複写・転載を禁じます。