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Vol.16 エアコン故障とマナの夏

2013.7.18

福岡は、今まさに夏真っ盛り。カラリと暑い日が続いています。
じりじりと太陽に照りつけられてアシカショーに出場したあと、ラッコの餌をやりに行くと、ヒンヤリとした空気が気持ちイイ♪・・のは最初だけで5分もすると、全身鳥肌!やっぱり長袖着てくれば良かった・・と、後悔します。だってラッコプールの気温は10℃。外との気温差は20℃以上です。むしゃむしゃと、次から次においしそうに餌を食べるラッコたちを見ながら、よくこんな所で生活出来るなぁと改めて思います。
ラッコたちにとって快適な環境を保てるのは、この大きな空調機のお陰です。

空調機

ところが、毎日フル稼働でプール内を冷やしてくれている、この空調機が春先に不調を訴え始めました。ガス漏れが発覚し、設備担当から、いつ止まってもおかしくない状態だと言われたんです。これはラッコたちにとっては死活問題!大変な事態です!
そこで急きょ、空調機の交換工事を行うことになりました。でも、それにはいくつかの課題が・・・。まず、工事の間、ラッコたちをどこで飼育するかということ。涼しくて、冷たい水が確保出来る施設はラッコ展示プールと、その裏にある繁殖プールの他にはありません。しかも繁殖プールは展示プールの1/3程の広さしかありません。そこに3頭を一緒に入れるのか?そうすると、体の大きなオスのリロとマナのパワーバランスが気になります。

リロ

ケガをした場合、他に隔離する施設もありません。繁殖プールにリロと、メスのマリンを入れ、マナは他の水族館や動物園で預かってもらうか?でも、ラッコは環境の変化に敏感で、ストレスにも弱い動物です。工事の期間だけのために、外気温も水温も高いこの時期にリスクの高い輸送をするべきなのか・・・。チームで何度も話し合い、繁殖プールに仕切りを入れて、片方にリロ、もう片方にマリンとマナを一緒に入れることにしました。

展示プールと仕切りを入れた繁殖プール

その前準備として、リロを展示プールの狭いエリアに1頭で収容し、マナは広いエリアでまた、マリンと一緒に生活させることに。いつまで経っても心配してしまいますが、マリンとの同居も何度か行ってきたので、違和感なく一緒に生活が出来ました。

一緒に餌を食べるマリンとマナ

繁殖プールへの移動は少しだけ苦戦しましたが、工事前日には何とか3頭とも収容。やっぱりちょっと狭そうですが少しの間ガマンしてもらいましょう。

繁殖プールに移動したラッコたち

空調機の工事は結構大がかりです。

工事の様子

繁殖プールに工事の音が聞こえるとリロやマリンは『なんのおと?!』と、目を丸くして周りをキョロキョロ。水中に潜ったまましばらく顔を上げなかったりと落ち着かない様子ですが、マナは上陸して毛づくろい。そのままウトウトとお昼寝を始めるほどの余裕です。さすが人工哺育で育ったラッコ!!
また、この機会に観覧面のアクリルガラスの交換と、掃除も徹底的にしたので、空調機だけではなく、ラッコプール全体が新品になったように見えます♪

新品の空調機ときれいになった展示プール

ラッコたちはプール底のコケがキレイになくなっている事には気付いても、新品の空調機には気付かないでしょうね。

プール底をチェックするマナ

私たちにとってはあっという間、でもラッコたちにとってはとっても長い、3日間の工事が無事に終わり、また、展示プールでの普通の生活が始まります。

展示プールにも戻ってきたラッコたち

著者プロフィール

土井 翠(土井 みどり)

佐賀県出身。1997年4月 マリンワールド海の中道に入社。
同年7月に展示部海洋動物課に配属後、アシカ・アザラシ・ラッコの飼育業務やショー運営を行い、現在に至る。
動物たちは我が子のようでもあり、友達でもあり、一緒に仕事をする大事な仲間。

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