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Vol.41 復帰を前に

2016.2.29

去年の夏休みから産休に入り、仕事復帰まで原稿の提出をお休みさせていただく予定でしたが、どうぶつのくにnet愛読者の皆さんにお伝えしたいことがあり、久しぶりに書かせていただいてます。

残念なお知らせです。2月18日にラッコの『マリン』が亡くなりました。

年齢的に、もう最後になるかもしれない妊娠・出産を願い、去年の2月からリロとの同居を続けていましたが、同居後、長期間に渡って何度も何度も交尾を繰り返すことと、体重の増加が見られないことで、妊娠の可能性は低いのかなと思いながら産休に入りました。

寄り添って眠るリロとマリン

寄り添って眠るリロとマリン

マリンが生まれたのは1999年12月9日。他の兄弟よりも早く、生後5ヶ月で母親の元を離れたときは、下半身のグルーミングがまだひとりで十分に出来ない状態でした。他のラッコたちが水面に浮いたまま、器用にグルーミングをする中、陸上でひとり必死に体をこするマリン。わたしたち飼育員が手伝おうとすると、最初は警戒しましたが、段々と体を預けるようになりました。でも、それは長くは続かず、数日後には『もう、いいけん、さわらんで。』と言わんばかりに嫌がるようになりました。体を丸めて一生懸命グルーミングをする姿を見て、どうぶつってかわいいだけじゃないんやな。こんなにちっちゃいのに何て強いんやろうと思うと同時に、マリンの成長をそばでずっと見守りたいと、ただ純粋にそう思いました。

初めての交尾を目の当たりにしたときは、かわいかったマリンがオトナになってしまった・・と、何となく寂しい気持ちになりました。
死産のときは赤ちゃんを前に、自分が出産したことさえ分からない様子のマリンを見て、涙が流れました。
無事に赤ちゃんが生まれ、キリリと母の顔になったことを羨ましく思い、自分も出産を経験して対等になれた気がしました。

赤ちゃんを近くで見せてくれたこともありました

赤ちゃんを近くで見せてくれたこともありました

取材やイベントはどちらかと言うと苦手だったのに、ここ数年はマナのイベントでしっかりフォローしてくれていました。

カメラもあんまり好きじゃない!

カメラもあんまり好きじゃない!

体調があまり良くないとの連絡をもらっても、育休中のわたしはただ祈ることしか出来ませんでした。でも、夜なら、子どもたちを寝かしつけたあと、少しだけ一緒にいれるかもしれないと思って会いに行きました。
そして、2月18日の23:21、ひどく苦しむ様子もなく、マリンは静かに息を引き取りました。

『わたしがおらん間に死なんでよ。』
産休に入る前に冗談で言ったつもりのお願いを、マリンはきいてくれようとしたんでしょうね。何も出来なかったけど、最期のときを一緒に過ごすことが出来ました。

並んでお昼寝をするリロとマリン

並んでお昼寝をするリロとマリン

『マリンちゃん大すき』
この16年間、何回言ったか分からないこの言葉を、もう本人に直接言うことが出来ないことは本当に寂しいです。だけど、マナを含め、マリンが残してくれたたくさんの大切なものや、見せてくれたかわいい姿はこれからもわたしたちにとって大事な宝ものです。

マナとマリン

マナとマリン

わたしたちと同じようにマリンを愛してくださった方々にもお礼を申し上げます。たくさんのご声援を本当にありがとうございました。
これからも皆さんの中で、マリンがいつまでもキラキラと輝く存在でありますように。

マリンちゃん大すき

マリンちゃん大すき

著者プロフィール

土井 翠(土井 みどり)

佐賀県出身。1997年4月 マリンワールド海の中道に入社。
同年7月に展示部海洋動物課に配属後、アシカ・アザラシ・ラッコの飼育業務やショー運営を行い、現在に至る。
動物たちは我が子のようでもあり、友達でもあり、一緒に仕事をする大事な仲間。

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