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Vol.40 ラッコとわたし

2015.7.24

 水族館には生き物が好きな職員が多くいます。わたしも小さい頃から金魚やカメ、インコ、ウサギ、犬や猫などいつもどうぶつと一緒に生活をしてきました。
 ただ、ラッコとの出会いは遅く、マリンワールドに就職してからです。それまでは水族館に遊びに行ってもラッコプールで足を止めて見入ったという記憶は全く残ってなくて、ラッコという生き物にまるで興味がありませんでした。
 まぁるい顔に小さくて真っ黒い目、全身はふわふわの毛で覆われていて、その姿はまさにぬいぐるみのよう。短い前あしを一生懸命伸ばして餌を受けとり、食事のあとは水面にプカプカと仰向けに浮いてお昼寝をする・・ラッコは、ヒトが『かわいい』と思う要素を全部持っていると思いませんか?わたしもすぐに虜になりました(笑)

わたしを虜にしたアスカ

わたしを虜にしたアスカ

 ところで、わたしは年甲斐もなくレースやリボン、キラキラしたものなどかわいいものが大好きです。女性の多くは同じだと思いますが、いくつになっても『かわいい』と言われたら嬉しいし、そう言われたいとも思っています。
でも、どうぶつは違うんですよね。
かわいいと言われたくてその姿をしている訳じゃない。生きるために必要だからその姿なんだと、ラッコと接するようになって、そうはっきりと感じるようになりました。

マリンのお父さん カイ

マリンのお父さん カイ

 鯨類やアシカの仲間に比べると、ラッコは海に進出するのが遅かったと言われています。そんなラッコの祖先が選んだのは外敵が少なく、餌が豊富な極寒の海。フワフワの毛皮は冷たい水から体温を守るためにとても大切なものです。

美ラッコ マリン

美ラッコ マリン

 手のひらで毛皮の一部分をくるくると小さく回しながらもみほぐしたり、舌でなめ、鼻を押し付けてシュッシュッと空気を吹き込んで忙しそうに毛づくろいをします。こうして毛と毛の間に空気の層を作って体温を維持しています。
毛づくろいに疲れて眠る時には前あしを合掌するように合わせたり、眼や耳を覆うようにしたりします。前あしには毛が少ないので、水面から出しておかないと冷えてしまうからです。

リロお昼寝

リロお昼寝

 餌を食べるのも何だか忙しそうです。食べても食べても皮下脂肪がつかないほど寒い海で体温を保つためにはカロリーの高い餌をたくさん食べる必要があります。

餌を食べるところ

餌を食べるところ

 手のひらの乗るほどの大きさで生まれ、母親から色んなことを教わりながら少しずつ成長するところ。

生後間もないナダとお母さんチサ

生後間もないナダとお母さんチサ

仲間と遊んだり、ケンカをしたりしながら体も心も強くなっていくところ。

マリンとマナ

マリンとマナ

交尾をしておとなのオスやメスになるところ。母親になるところ。

マリンとウミ

マリンとウミ

そして、少しずつ老いていくところ。

マリンのおばあちゃん サキ

マリンのおばあちゃん サキ

今までラッコたちの色んな姿を見てきましたが、わたしにとってはその全てがとても美しく、とても愛おしいものです。

今回は何だかしんみりしてるでしょ?
それはなぜかと言うと、わたしがもうすぐ、この大すきなラッコたちから離れなきゃいけないから。離れると言っても、部署異動や退社ではありません。
そうなると、今までいつもそばにいて当たり前だった相手が、自分にとってどれだけ特別な存在かということに改めて気づかされます。

マナとわたし

マナとわたし

 先月の原稿を提出したとき、田井さんから「どうぶつのくにアワードMVP2連覇です」と伺い、まさか!とびっくりしました。毎月、わたしのコラムへのアクセス数が一番多かったとのことを聞き、本当に嬉しくなりました。

表彰状をいただきました

表彰状をいただきました

わたしは自分自身の出産に備えて、今月から産休に入ります。わたしのところにやっと来てくれた小さないのちはとても大切で、楽しみも多いのですが、それと同じくらいに動物たちと離れることが寂しくてたまりません。マナが生まれた年から3年間、毎月欠かさずに書いてきたこのコラムもお休みをさせていただくことになります。MVP3連覇を狙うことが出来ないのはザンネンですが、来年の春、無事に現場復帰したらまた再開させていただきます。
でも・・・ラッコ担当じゃなかったりして・・・(笑)。それならそれで、担当になった生物のことを書きます!なので、今までわたしのコラムを毎月読んでくださっていた皆さん!ラッコのネタじゃなくてもまた読んでくださいね(笑)

よろしくね~

よろしくね~

 それまではわたしも、どうぶつのくにの一ファンとして他の皆さんのコラムを楽しませていただきます。

著者プロフィール

土井 翠(土井 みどり)

佐賀県出身。1997年4月 マリンワールド海の中道に入社。
同年7月に展示部海洋動物課に配属後、アシカ・アザラシ・ラッコの飼育業務やショー運営を行い、現在に至る。
動物たちは我が子のようでもあり、友達でもあり、一緒に仕事をする大事な仲間。

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