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Vol.2 タラ、生まれる。

2015.12.7

みなさんこんにちは!
初回は園とハヌマンラングールのざっくりした紹介で終わってしまいました。
第2回、どーんといきますよ!

昨年と今年2度の人工哺育を行っているので何からお話しようか迷いましたが、順番に。
2014年4月30日、ハヌマンラングールのリンダが赤ちゃんを産みました。
出産したのは午前10時から12時の間、当時はまだリニューアル前で 檻型の古い獣舎の中でした。

その日のリンダは朝のエサを食べてから寝室にこもっており、午前中の作業を終えて観察に行ってみると中から赤ちゃんの声が聞こえてきました。
妊娠しているのでは、という話はスタッフ間でも出ていたものの、妊娠時期も兆候もはっきりせず、まさかもう出産するとは!というのが本音でした。

リンダは以前にも一度出産経験がありましたが、子育てができず、出産を確認した時には赤ちゃんは亡くなっていたので、いち早く様子を確認したいところでした。
しかし、子育てを頑張ってくれる可能性を信じて、遠くから観察をすることに。
赤ちゃんをつかんだり、持ち上げてみたり、鳴き叫ぶ赤ちゃんを離してしまうことはなかったのですが、うまくだっこができません…

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午後1時を過ぎた頃、リンダが赤ちゃんを床に落としたり、乱暴な行動に出るようになり、赤ちゃんの命を守るため、人工哺育に切り替える判断をしました。

床に落ちてしまった赤ちゃん。ぐったりしていました。

床に落ちてしまった赤ちゃん。ぐったりしていました。

ハヌマンラングールは、大きな群れをつくってくらす動物。子育ての方法も、群れのなかで他のサルたちが子育てをする様子を見ながら学び、手伝いながら身に付けていきます。
リンダの場合、「赤ちゃんは大切!」という本能はしっかりあるようですが、これまでその学習の機会に恵まれなかったことが子育てができない原因なのでは、と考えています。

生まれた赤ちゃんはメスで、体重584.5g。
名前については後々お話しますが、『タラ』と名付けました。

おでこの黒い丸は、床に落ちたときにできた傷です。

おでこの黒い丸は、床に落ちたときにできた傷です。

テナガザルやマカク属のサルの人工哺育は園として何度も経験がありましたが、ハヌマンラングールは当園ではじめて。
ハヌマンラングールについて詳しく調べられた例はないようですが、木の葉を主食とする彼らの乳成分は他のサルたちとはきっとちがうはず。また、他園でリーフイーターの人工哺育に苦労された話もいくつも聞いていました。
一筋縄ではいかなさそう…

タラにとっても、飼育員としてまだまだひよっこのわたしにとっても、大きな試練の予感(おおげさ?)。
命が助かってほっとする間もなく、悩ましい人工哺育が始まりました。

紆余曲折ありましたが、現在1才半となったタラは体重約2.7kgとすくすく育ち、もうすっかりおとなと同じカラーリングに。

元気に育ってくれている姿を見ると、苦労や悩みもいい思い出になりますね。

元気に育ってくれている姿を見ると、苦労や悩みもいい思い出になりますね。

次回は、とーーーーっても悩んでちょっと迷走した、タラの哺育についてお話します。

著者プロフィール

川出比香里(かわで・ひかり)

1991年生まれ 埼玉県出身
専門学校を卒業後、埼玉県こども動物自然公園でのアルバイトを経て、2012年にときわ動物園就職。偶蹄類が好きでサルは大の苦手だったが、担当になるとあっという間に夢中になり、今では3児(すべてサル)の母。

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