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Vol.36 シロテテナガザル

2019.4.15

みなさんこんにちは!
新年度がはじまりました。お仕事や学校など、新しい環境に身を置く方も多いのではないでしょうか。
私は4年間担当したハヌマンラングールの飼育を離れ、4月からキツネザル2種とバックヤードでくらすサルたちの担当になりました。毎日顔を見ていたなじみのサルたちとの別れはさみしくもありますが、同じ霊長類でもまったく違うキツネザルたちとの出会いに、発見と刺激がいっぱいの毎日を送っています。
慣れない環境に疲れてしまうこともあるかもしれませんが、みなさんにも素敵な出会いがいっぱいの春でありますように!

 

さて、前回の宣言通り、今月からは当園の霊長類を1種ずつご紹介していきたいと思います。

   

…その前に、まずお詫びと訂正を。

 

このコラムの第1回で、「日本モンキーセンターに次いで国内2番目に霊長類が多い」と書きましたが…あれから動物園にお勤めの方々に会うと「うちのほうが多いんだけど」と指摘されること多々…
慌てて調べると、確かにその通り…ご、ごめんなさい。

 

改めまして、国内6番目に霊長類が多いときわ動物園です。
コラムをお読みのみなさま、関係者のみなさま、大変失礼いたしました。

   

では、気を取り直して、今回はシロテテナガザルのお話です。
なんと当園は、シロテテナガザルの飼育頭数日本一!(これは間違いなく本当です!)
現在12頭を飼育しています。

とは言え、12頭みんなが一緒にくらしているわけではありません。
テナガザルの仲間は、野生でもオスとメスとその子が数頭という、ヒトの核家族に似た小さなグループでくらします(頻繁にペアを組みかえたり、必ずしもペアと子に血縁関係があるわけではなかったりすることも近年明らかになっています)。そのため、当園でも家族やペアごとに分けて飼育をしています。

 

こちらが当園の「アジアの熱帯雨林ゾーン」のシロテテナガザルの展示。

水堀に囲まれた2つの島があり、それぞれひとつずつ家族がくらしています。

 

様々な植物が生い茂っていますが、サルたちを見つけるのは割と簡単。
特にお天気のいい日には、ぴょんぴょんと飛び回りながらかれらの方から姿を現してくれるでしょう。その名の通り長ーい手(前あし)を、しなやかに惜しみなく使った、ブラキエーションという移動方法が一番の特徴で、歓声をあげてしまうこと必至!
驚くほどダイナミックでアクロバティックな「うんてい運動」で迎えてくれます。

木々の間をすりぬけ、自由に飛び回る姿は圧巻!爽快!

私は数えきれないほど見ている光景ですが、ついつい足を止めて見入ってしまいます。
かれら自身が楽しんでいるように見えるのは私の思い込みではないでしょうし、「きみたちはこんなことできないでしょ?」と地上の私たちに見せつけているような気さえします。

 

このように、かれらの運動能力の高さに触れて野生でのくらしに思いを馳せることができる当園自慢の展示ですが、実は野生のシロテテナガザルとはかけ離れた姿にもたびたび出会います。

野生では木から下りることは滅多にないと言われていますが、当園のシロテテナガザルたちは、それはもう頻繁に地上で過ごしています。野生の個体にとって、地面に下りることは天敵である肉食動物に遭遇するリスクを高めることにつながります。食物も高木の果実や木の葉があるので、わざわざ危険を冒す必要はありません。

一方で、動物園では肉食動物と一緒に飼育されることはないので、こんなふうに切り株にちょこんと座ったり、草地でぼんやり休んだり。リラックスした姿を見せてくれます。

 

地上にいるときはより近くで表情や仕草を見ることができるので、個体同士のコミュニケーションもじっくり観察することができますし、時には私たちのほうをじーっと見つめてくることも。

 

お客様から「ヒトみたい…」という声が聞こえてくることもしばしばです。
この発言、なかなか鋭い!実は、テナガザルは霊長類の中ではヒトに近い仲間です。

その証拠に、かれらには私たちと同じようにしっぽがありません。
ヒト科に分類され大型類人猿と呼ばれるチンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータンよりはサル寄り(あまり適切な表現ではないかも…)ですが、テナガザルも小型類人猿と呼ばれ、他のいわゆる「サル」とは一線を画した存在。
かれらの中に“ヒトっぽさ”を感じるのもそのためかもしれません。

    

今回はシロテテナガザルたちについて、ほんの一部をご紹介しました。
まだまだお話したいことがいっぱいです。
樹上では野生を、地上では感情表現豊かなヒトっぽさを感じることができる当園のシロテテナガザルの島へぜひお越しください。

長時間ながめていると首が痛くなること間違いなしです。
ご来園の際は、ご覚悟の上!

 

次回は、当園で最も個体数の多いサル・ボンネットモンキーのお話です。

著者プロフィール

川出比香里(かわで・ひかり)

1991年生まれ 埼玉県出身
専門学校を卒業後、埼玉県こども動物自然公園でのアルバイトを経て、2012年にときわ動物園就職。偶蹄類が好きでサルは大の苦手だったが、担当になるとあっという間に夢中になり、今では3児(すべてサル)の母。

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