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Vol.37 ボンネットモンキーとトクモンキー

2019.5.19

みなさんこんにちは!
史上初の10連休、いかがお過ごしだったでしょうか?
ときわ動物園もたくさんのお客様でにぎわい、たのしいGWでした!

   

さて、今回は似ているようでけっこう違う、アジアのマカクのお話です。

 

「ちょっと待って、マカクってなに?」という方もいらっしゃいますよね。
“マカク”とは、霊長類オナガザル科マカク属に分類されるサルのなかまを指し、世界中に約20種が現存しています。ニホンザルもマカクの1種で、私たち日本人にとっては「サルらしいサル」かもしれませんね。
ときわ動物園には、ニホンザル、シシオザル、クロザル(非展示)、そして今回ご紹介するボンネットモンキーとトクモンキーという5種のマカクがくらしています。



 

ボンネットモンキー 

トクモンキー

なんとなく姿が似ていて当園でもすぐ隣に展示していることから、混同されがちな2種ですが、こうして並べて見てみるとけっこう違いますよ…ね~?

 

私は昨年度まで、トクモンキーの飼育担当もしていました。
明るい茶色の毛なみ、まるでキクラゲのような黒い耳、くりっとした目をより際立たせるアイラインによって演出された気の強そうな美人顔、上品な口元…
飼育担当の欲目もあるかもしれませんが(いやそんなことないはず!)、トクモンキーのほうが断然かわいい!美形!と思っています。
みなさんはどう思われますか?

   

ちなみに、この少し変わった種名はどちらも頭の毛の様子が帽子をかぶっているように見えることからきています。
ボンネットモンキーの横分けはボンネット帽、トクモンキーの放射状のカッパ頭はトーク帽が由来。
(そう言われてもどんな帽子かわからない方は、ちょちょいと検索をば!)
私には何度見ても、ボンネット帽にもトーク帽にもまったく見えないのですけれど…

   

違いを見比べるのもたのしい2種ですが、私がおすすめする見どころは、なんといっても社会関係!

 

どちらも野生では大きな群れをつくるサルで、その構成も似ています。
オスは成長すると群れを出て、メスは群れに残って一生を過ごす母系社会が基本です。つまり、いっしょに生まれ育ったメス同士の結びつきがとても強いんです。

 

しかし、結びつきが強いというのは、もちろん同じ群れの中での話。
知らないメスに出会った時のメスたちは、ものすごい剣幕でその個体を追い出しにかかります。
4年前に血統更新(遺伝的な多様性を保つために違う血統の個体を群れに入れて繁殖を図ること)のために他の動物園から2頭のメスが当園にやってきたのですが、もともと当園にいたメスたちに完膚なきまでに攻撃され、群れを分けなければなりませんでした。
上品な顔立ちと立ち振る舞いはいったいどこにいったのかと思うほど…

こちらが当園にやってきたメス2頭。もうずいぶん以前の写真ですが、先に紹介した写真の個体とは顔立ちが違うのがおわかりでしょうか?
一概には言えませんが、顔立ちを見るとある程度血縁関係の想像がつくことも多いです。


 

最後に、もっとほっこりするメス社会のお話もしておきましょうね!

 

こちらは昨年の春のボンネットモンキーたち。

サルたちにも、同じ群れの中でよくいっしょに過ごす仲良しの個体というのがある程度決まっているのですが、それがどうやら出産によってがらっと変わるんです。 (※写真は昨年のもので、現在当園に赤ちゃんのボンネットモンキーはいません)   妊娠個体が複数いると、群れの雰囲気の変化は出産前からはじまります。 おなかが大きくなるにつれて、妊娠個体同士が近くで過ごすようになり、それは出産を機にさらに加速。妊娠前はあまり一緒にいないどころか仲が悪そうに見えていた個体同士でも、子連れになった途端どちらからともなく距離が縮まり、お互いの子どもを触り合ったり身を寄せ合ってひなたぼっこをしたり、とにかく仲が良さそうな様子を頻繁に見るようになります。 公園で子どもを遊ばせるヒトのお母さんもこんなかんじでしょうか。 この時期は本当にほほえましく、健康管理のために観察していても思わずにやけてしまいます。   さらに面白いのはここからで、実はこのママ友期間はそう長くは続きません。 生まれて3か月ほどすると子どもたちは母親のそばを離れてひとりで、または他の子どもと遊ぶようになるのですが、それに合わせて母親同士の関係もゆるーっと解消されていくようなのです。   子どもの健やかな成長のためにはニガテなサルとも仲良くするけれど、子どもが育てば用はない……飼育員たちの目にはそんなふうに映っていますが、実際はどうなんでしょう? サルたちの本音を聞いてみたいところです。     メスに限らず、じっくり観察したり、繰り返し観察していると、ヒトに負けず劣らず奥深い関係性が見えてくるかもしれません。 また、当園のボンネットモンキーはコツメカワウソとの混合展示をしていますので、カワウソたちとの攻防(というほど激しいものではありませんのでご安心を!)にもご注目! 表情も行動も社会関係も豊かなマカクたちを見ていると、時間がいくらあっても足りません。 ご来園の際は、ぜひゆっくり観察されてくださいね!      次回は、シシオザルのお話です。

著者プロフィール

川出比香里(かわで・ひかり)

1991年生まれ 埼玉県出身
専門学校を卒業後、埼玉県こども動物自然公園でのアルバイトを経て、2012年にときわ動物園就職。偶蹄類が好きでサルは大の苦手だったが、担当になるとあっという間に夢中になり、今では3児(すべてサル)の母。

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