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どうぶつのくに どうぶつえんとすいぞくかん

Vol.20 親指が短いとミカンが剥けない。

2017.8.16

みなさんこんにちは!
今年はかなり早くから暑かったためか、8月に入った時点でバテ気味でした…
暖かいところ原産の種が多い当園のサルたちも、おつかれの様子が見られ、飼育員たちはせっせと暑さ対策に励んでいます。

さて、今回は夏とは何の関係もありませんが、ハヌマンラングールの手(前あし)のお話です。

多くのサルたちは、ヒトに似た(…なんて言うとちょっと語弊があるのですけれど…)器用な指をもつ手(前あし)を持っていて、食べものをつかんだり毛づくろいをしたり、色々な場面で本当に器用に使っています。

とっても器用なことは彼らの大きな魅力なのですが、エサをゆっくり食べてもらうための仕掛け(限られた環境で過ごす動物たちが退屈する時間を少なくしたり、動物たちがもっている能力を発揮できるようにしたりすることで動物の生活を豊かにする取り組み(=環境エンリッチメント)のひとつ)をつくってみても持ち前の器用さと賢さであっという間に攻略してしまう、飼育員泣かせなところも。

しかし…

ハヌマンラングール、とっても不器用なんです。

他のサルにはものの数分で攻略されてしまった、フィーダー(竹筒に穴が開いているだけの超かんたん構造)も…

なんと約20分も夢中で利用してくれました。
少し心配になるくらいの不器用っぷりです。

この個体だけが不器用…というわけではなく、こどもも不器用。

どうして不器用なのかというと、手(前あし)を見れば一目瞭然でした。

こちらはソフィー(こどもたちの伯母さん)の右手。

むむっ!
へんなかたち!
よーく見ると、親指がとっても短いのです。
こんなに親指が短かったら、そりゃあ不器用なわけです。

試しに私も親指を半分の長さにして(?)ミカンを剥くのにトライ。
むむむ…

むむむむ…

む、持てない…

 

早々に降参して親指を使い、無事にミカンを食べることができました。

このように(あまりうまくないですが…)、細かい動きをするために親指は必要不可欠。
親指が極端に短いハヌマンラングールは他のサルたちよりも不器用というわけです。

では、どうしてこんな手をしているのでしょう?
はっきりしたことはわかっていませんが、手先の器用さよりも移動の利便性を選択したからではないかといわれています。

 

3つにくびれた草食動物のような胃袋…
サルらしくない短い親指…

   

ふしぎで深~いハヌマンラングール、不器用さすら愛おしい!

   

次回は、担当3年目にしてようやっと読んだ「ラーマーヤナ」(ハヌマンラングールがモデルとなった「ハヌマーン神」が登場するインドの神話)についてお話します!

著者プロフィール

川出比香里(かわで・ひかり)

1991年生まれ 埼玉県出身
専門学校を卒業後、埼玉県こども動物自然公園でのアルバイトを経て、2012年にときわ動物園就職。偶蹄類が好きでサルは大の苦手だったが、担当になるとあっという間に夢中になり、今では3児(すべてサル)の母。

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