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Vol.34 SSH その4

2019.3.12

みなさんこんにちは!
ちょっぴり手違いで更新が遅れてしまいました。今回のコラムは1月の話題です!

 

さて、前回は次はハヌマンラングールの寝室模様替えについて…と予告していましたが、今年も地元の高校生が当園で研究をはじめることになったので、お知らせします!
新しいフィーダーや寝室の様子については、当園の飼育員ブログやSNSでもお伝えしていきますので、チェックしてくださいね!

SSH その4!と書きましたが、SSHとはなんぞや?という方も多いと思いますので、改めてご説明。
“SSH = Super Science High school”
創造性や独創性を高めること・国際性をはぐくむことなどを目的に、指定された高校などで先進的な理数教育を実施し大学や企業との共同研究を行う、文部科学省主導の取り組みです。そして、当園から最も近い距離にある、山口県立宇部高等学校もこのSSH指定校で、それぞれの興味の方向によって数人のグループに分かれ、様々な教育機関や企業などと共同して研究を行っています。

 

ご縁があって1年前にはじめて一緒にハヌマンラングールの親子関係に関する調査をおこないました(当園と宇部高校と東海大学の伊藤先生の共同研究として調査)。
その学生さんたちは、人工哺育で育ったハヌマンラングールのこどもとおとなとの関係をそれぞれの個体間の距離を観察することで調べ、校内での発表の他に、日本モンキーセンターでおこなわれたプリマーテス研究会と、武蔵大学でおこなわれた日本霊長類学会学生部会でもポスター発表をしました。
調査から発表まで、とても立派に取り組み、彼ら自身にとってもいい経験となったのではないかなと思っています。
また、発表の場があったことで、研究者や動物園の関係者など多くの方から指導をいただくこともでき、課題もたくさん見つかりました。

 

そして、今度はその2年後輩で現在1年生の5人が、ハヌマンラングールをテーマに動物園で研究したいと手を挙げてくれました。

毎週末のように動物園に足を運び、ハヌマンラングールの観察をしてくれています。
まずは4頭の個体識別から。先輩たちが観察した2年前よりも成長したこどもたちは体の大きさの差が小さくなっていて、少し難易度が上がっていたようですが、みんなすぐに識別できるようになりました。

室内での行動も観察。展示場よりもせまい室内では、関係性がよりはっきり見えてくる様子。

いつもハヌマンラングールが過ごしている展示場の中にも特別に入ってみました。
(ハヌマンラングールたちには室内に入ってもらい、高校生は動物がいない状態の展示場に入っています)

 

現在は、来年度からはじまる本格的な活動に向けて具体的にどんなことをどんな方法で調べるか、詳細を詰めている段階です。

この日は、大学受験を終えた3年生の先輩も駆けつけてくれました。
これまでの調査の内容や、そこで出た課題などをみんなで共有し、1年生のメンバーが新たに感じたことも加えてテーマをしぼっていきます。

 

高校生たちに伝えるために自分自身の知識や考え方を改めて整理する機会ができたり、当たり前のように思って深く考えてこなかったことの問題点に気づかされたり…
形式上はかれらの指導役なのですが、教えてもらうこともたくさんあり、SSHの高校生たちと話をするのは、私にとってもわくわくする時間です。

 

週末にiPadやメモを持ってハヌマンラングールを見つめる若者がいたら、宇部高校の生徒たちかもしれません。観察中は手や目を離せずお話ができないこともありますが、あたたかく見守っていただけると幸いです。

 

次回は(…おそらくすぐに次が更新されますが)、つい先日開催された中国四国地方の動物園の飼育技術者が集まる研究会のお話です。

著者プロフィール

川出比香里(かわで・ひかり)

1991年生まれ 埼玉県出身
専門学校を卒業後、埼玉県こども動物自然公園でのアルバイトを経て、2012年にときわ動物園就職。偶蹄類が好きでサルは大の苦手だったが、担当になるとあっという間に夢中になり、今では3児(すべてサル)の母。

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